研究課題/領域番号 |
22H00950
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井上 真理 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20294184)
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研究分担者 |
小泉 智 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (00343898)
中西 康雅 三重大学, 教育学部, 教授 (00378283)
山田 由佳子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20304074)
武内 俊次 京都工芸繊維大学, 繊維科学センター, 特任准教授 (20869804)
金田 理子 神戸大学, 附属学校部, 附属中等教育学校教諭 (70942241)
兒玉 隆之 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (80708371)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 故繊維 / 引張特性 / 圧縮特性 / 風合い / 脳波計測 |
研究実績の概要 |
持続可能な繊維・糸と、それから作成された代表的な織物・編物等を試料として、一般製品と遜色ない性能設計のための基礎資料を得るため、主に廃棄衣料から得られた再生糸および再生糸を入手した。番手(12番・24番)、単糸・双糸、バージン綿の種類(通常綿N・超長綿L)、故繊維Rの含有割合(30%・50%)の異なる計10種類である。それぞれの糸の特性を、KES(カトーテック㈱)の各特性装置(引張試験機、曲げ試験機、圧縮試験機等)を用いて測定した。一般綿よりも超長綿を用いた再生糸のほうが、引張特性としては弾性回復率が小さく、引張伸度と強度は大きい。また、圧縮時の仕事量、摩擦特性は小さく、表面粗さの偏差が大きいことが特徴として捉えられた。引張強度及び引張伸度はバージン綿の含有率が多い30%のほうが大きいという結果が得られた。再生糸の物理特性の測定を行い、繊維の構造、繊維の組成に対応した特徴を捉え、再生糸の可能性を明らかにすることができた。今後、再生糸の品質評価の標準化を視野に、さらに布の設計に必要な基礎資料としてのデータストックを行いたいと考えている。 一方で、持続可能な既存の織物もしくは編物(ニット)を収集しており、用途別客観評価式を用いて計算を行い、官能評価の結果と合わせて評価式の有効性の確認を進めている。 また、被験者が生地に触れた時に生じる心的状況を捉えるため、脳波計測を行っている。試料に触れている時および触れる前後の安静時におけるそれぞれの脳機能活動について分析し、触感の官能評価の結果と合わせて比較検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年の時点では、コロナ禍の影響で試料の入手や脳波計測機の導入が遅くなり、また人を用いが実験もなかなかできなかったため、実験をはじめるのが当初の予定よりも遅れていたが、2022年後半に脳波計測機を導入し、測定も徐々に進めることができるようになった。それにより、当初の予定にほぼ追いついた状況になってきているため。
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今後の研究の推進方策 |
再生糸の測定をさらに進めるとともに、2023年度には再生糸から製作された布を入手し、その特性の測定を進めることができているので、このまま予定通り、研究を進める。 再生糸の品質評価の標準化を視野に、さらに布の設計に必要な基礎資料としてのデータストックを行っていくとともに、市販の織物もしくは編物(ニット)を収集しており、手触りによる布の風合いの官能評価を始める。布の特性は、引張特性・せん断特性・曲げ特性・表面摩擦・粗さ特性(たて・よこ方向)圧縮特性の6項目について測定を行い、用途別の客観評価式を用いて、布の風合いに関する計算を行う。官能評価の結果と合わせて評価式の有効性の確認を進める。 また、被験者が生地に触れた時に生じる心的状況を捉えるために、人数を増やして脳波計測を行う。試料に触れている時および触れる前後の安静時におけるそれぞれの脳機能活動について分析し、触感の官能評価の結果と合わせて比較検討を行っていく。
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