研究課題/領域番号 |
22H00960
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
酒井 利信 筑波大学, 体育系, 教授 (40281711)
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研究分担者 |
筒井 雄大 国際武道大学, 体育学部, 助教 (50881380)
堀川 峻 筑波大学, 体育系, 特任助教 (90923532)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 生涯武道 / 東欧 / 指導者養成 |
研究実績の概要 |
武道は、生涯にわたる人間形成を標榜するものであり、まさに生涯学習としての教育的価値が認められつつ日本社会に位置づいている。至って精神面(心)への影響が期待されてのことであるが、ここには‘身体(訓練)を通して心を変える’という考え方があり、心と身体を一体不可分のものとして捉える心身関係論が潜在している。一方海外では、従来、こういった日本武道の考え方は、キリスト教社会における異文化による人間形成の拒否や、デカルト以来の心身二元論社会における心身関係論の否定といった阻害要因により、元来のままの形では容易に受け入れられてこなかった。しかし近年、東欧において武道の教育力を許容し始めている事例が確認されている。本研究はこれを‘好機’と捉え、日本と東欧の研究者が叡智を結集し、日本の武道教育に関するロジックを東欧の事例と照合させつつ「生涯武道論」を世界的視野から再構築し、理論と実技を兼ね備えた「文武両道」の指導者養成プログラムを開発することにより、国際社会の中で実装しようとするものである。 当該年度は、国際的な「生涯武道論」を再構築するために、日本については近世剣術流派における「気」の問題、近世期における武道教育論の中核をなす佚斎樗山の思想について、近代日本武道を牽引した大日本武徳会について、近世以降の武士道論について文献学的に分析・考察を行った。東欧の事例としてはルーマニアの武道実践者について質的研究方法を用いて分析・考察を行った。 生涯武道インストラクター養成プログラムの開発の一環として、‘身体を通して心を変える’‘トラディション(伝統性)とイノベーション(競技性)の融合’をテーマにセミナーを試行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、日欧対話により国際的な「生涯武道論」を再構築し(課題Ⅰ)、それを前提とした生涯武道インストラクター養成プログラムを開発する(課題Ⅱ) ことを目的とするものであるが、課題Ⅰについては日本の近世および近代の重要事項についての分析・検討が進んでおり、東欧の事例についても調査が進められている。また、課題Ⅱについてもセミナーを試行する段階になっており、おおむね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
既に協力関係にあるForum for Budo Culture (NPO, Hungary)との連携のもと、国際的競技大会において人脈の拡大を図るなど、更に国際的なネットワークを広げ、日欧対話によるプロジェクトの推進を行っていく。 課題Ⅰ(国際的な「生涯武道論」の再構築)については引き続き日本の近世・近代の重要事項について検討し、東欧については先方の競技連盟の協力を得つつ調査を進めていく。 課題Ⅱについては、現地(東欧)におけるセミナーの試行に加えて、日本での指導者養成セミナーを行っていく。
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