研究課題/領域番号 |
22H00981
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
原 清治 佛教大学, 教育学部, 教授 (20278469)
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研究分担者 |
松浦 善満 大阪千代田短期大学, 幼児教育科, 教授 (40243365)
山内 乾史 佛教大学, 教育学部, 教授 (20240070)
大多和 直樹 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (60302600)
作田 誠一郎 佛教大学, 社会学部, 教授 (10448277)
竹内 正興 香川大学, アドミッションセンター, 教授 (20749981)
長谷川 誠 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 准教授 (00759508)
小林 元気 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 准教授 (10878143)
浅田 瞳 京都文教大学, 臨床心理学部, 准教授 (80454859)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | ネットいじめ / 生きづらさ / 学校の磁場 |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績は以下のとおりである。 1.いくつかの調査協力校においてアンケート調査を実施した。実施校は10校2,425名である。分析の結果、2023年度のネットいじめ発生率は前年度2.1%より上昇し、5.9%であった。また、ネットいじめの内訳をみると、それまでのLINEの書き込み(56.3%→31.5%)やオンラインゲーム(50.0%→43.3%)について数値が下がる一方で、その他(29.2%→57.0%)を選ぶ生徒が多くなっていることも明らかになった。これは、コロナ禍を経て、子どもたちのネットいじめの場が多様化したことを示していると考えられる。 2.調査分析を進めていくと、いじめや不登校などの背景に共通しているのはそうした状況を見ているだけの傍観者の存在であることが明らかになってきた。彼ら彼女らがいじめであれ不登校であれ、その行動を助長していたのである。 こうした課題を解決する方略として、諸外国の状況を概観すると、英国やフィンランドで導入されている傍観者を減らすいじめ防止プログラムに着目した。とりわけ、先進諸国で導入されているいじめ防止プログラムkivaの本場であるフィンランドで情報収集を行った。kivaプログラムは、2010年代にフィンランド国内すべての学校に導入されていたが、その効果は限定的なものであり、現在は導入率が40%にまで低下していること、いじめをされる友達の気持ちに寄り添うといった子どもたちの共感的理解にkivaプログラムは有効である一方、いじめをしてはいけないという認知的理解には影響していないという点が指摘された。また、いじめの発生率もコロナ禍以降増加しており、わが国と同様の傾向を示していることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象は少ないが、パネル調査については継続的に実施しており、分担研究での調査も実施されている。また、研究グループは調査結果について学会発表および学術論文としての公開も行っており、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はアンケート調査を継続的に実施しつつ、調査項目のブラッシュアップを行い、とくにネットいじめの内容や生徒自身を問う質問項目の精査を行う。 アフターコロナの視点を質問紙に取り入れ、コロナによって子どもたちの生活や生きづらさにどのような影響がみられるのか、という視点から分析を進める。 また、フィンランドや英国など、海外の傍観者抑止のプログラムが日本にどの程度導入可能なのかを検証する予定である。
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