研究課題
本研究では、昨今の世界的パンデミックを引き起こしてきた新型コロナウイルス感染症に関する様々な国内における対策による社会環境変化の影響も踏まえたうえで、健常児童生徒と疲労関連疾患患児を対象に、主に自律神経機能と認知機能指標のデータ集積による心理生理学的特徴量を加味した疲労度遷移ネットワークの開発を基に、子どもの発達要素も踏まえた慢性疲労予防、疲労軽減・回復のための生活習慣等の抗疲労介入因子の同定を目指している。令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況等が動的に変動する可能性を有する現況において、想定よりも参加被験者を募ることが困難であったが、健常児童生徒と疲労関連疾患患児と保護者の協力を得て質問票調査、自律神経機能検査および認知機能検査を実施することができた。その結果、疲労度の高い健常児童生徒は、平日の睡眠時間が短い傾向がみられ、自律神経機能の調節力が低下しており、認知機能が低下している傾向がみられた。疲労関連疾患患児でも比較的同様の傾向が認められた。これらの結果は、睡眠時間の確保などを介入要素とすることで、疲労軽減、回復効果が見込める可能性を示唆するが、個々人における睡眠時間と生活習慣との関連性を紐解くための解析も並行して進めている。自覚的感覚のみならず自律神経機能や認知機能といった客観的指標も加味して疲労、慢性疲労と関連する因子同定を図る本研究の社会医学的な意義、貢献度は高いといえる。
2: おおむね順調に進展している
当初立案した研究計画通りに、研究を推進することができているため。
研究開始当初に計画していた研究を今後も推進する。新型コロナウイルス感染症の拡大状況等も鑑みながら、柔軟に研究計画の変更等にも対応することを意識しつつ、参加候補被験者および保護者と慎重に調整を図りながら研究推進を試みる。データ集積と並行してデータ解析を深堀し、抗疲労に資する個別の介入方策の導出を目指す。
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