研究課題/領域番号 |
22H00991
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
水野 敬 大阪公立大学, 健康科学イノベーションセンター, 特任教授 (60464616)
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研究分担者 |
上土井 貴子 熊本大学, 病院, 医員 (90363522)
渡辺 恭介 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命講師 (10865546)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 疲労 / 意欲 / 自律神経 / 認知機能 / 新型コロナウイルス感染症 |
研究実績の概要 |
本研究では、昨今の世界的パンデミックを引き起こしてきた新型コロナウイルス感染症に関する様々な国内における対策による社会環境変化の影響も踏まえたうえで、健常児童生徒と疲労関連疾患患児を対象に、主に自律神経機能と認知機能指標のデータ集積による心理生理学的特徴量を加味した疲労度遷移ネットワークの開発を基に、子どもの発達要素も踏まえた慢性疲労予防、疲労軽減・回復のための生活習慣等の抗疲労介入因子の同定を目指している。令和5年度は、前年度に比し、新型コロナウイルス感染症の拡大状況が一定の落ち着いた状況になり、児童生徒の新型コロナウイルス恐怖尺度のスコアも低下傾向を示した。前年度に引き続き、健常児童生徒と疲労関連疾患患児と保護者の協力を得て新型コロナウイルス恐怖尺度を含む質問票調査、自律神経機能検査および認知機能検査を実施した。その結果、疲労度の高い健常児童生徒は、前年度の平日の睡眠時間が短く休日前の睡眠時間が長く、自律神経機能の調節力と安静時副交感神経活動が低下しており、認知機能の中でも実行機能が低下している傾向がみられた。疲労関連疾患患児でも比較的同様の傾向がみられた。さらに、健常児童生徒群において、平日の睡眠時間の短縮傾向と朝食習慣、夜間コンビニエンスストア利用頻度、SNS利用頻度や平日の家族と過ごす時間とは密接な関連性が認められ、抗疲労のための睡眠時間の確保に重要な介入因子が明らかになりつつある。これらの介入により、疲労軽減、回復効果が見込める可能性を示唆するが、個々人における睡眠時間と生活習慣との関連性を紐解くための解析もさらに並行して推進する。自覚的感覚のみならず自律神経機能や認知機能といった客観的指標も加味して疲労、慢性疲労と関連する因子同定を図る本研究の社会医学的な意義、貢献度は高いといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初立案した研究計画通りに、研究を推進することができているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究開始当初に計画していた研究を今後も推進する。新型コロナウイルス感染症の拡大状況等も鑑みながら、柔軟に研究計画の変更等にも対応することを意識しつつ、参加候補被験者および保護者と慎重に調整を図りながら研究推進を試みる。データ集積と並行してデータ解析を深堀し、抗疲労に資する個別の介入方策の導出を目指す。
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