研究課題/領域番号 |
22H00996
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
宮崎 仁 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (20550396)
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研究分担者 |
三上 史哲 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (80550392)
岩藤 百香 川崎医療福祉大学, 医療福祉マネジメント学部, 講師 (80612986)
大姶良 義将 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (60910338)
小田桐 早苗 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10461245)
難波 知子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30441489)
武井 祐子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (10319999)
森戸 雅子 川崎医療福祉大学, 保健看護学部, 准教授 (50389029)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 感覚特性 / 自閉症 / 家族支援 / 情報共有 / アプリ開発 |
研究実績の概要 |
本研究は,感覚に特性をもつ自閉スペクトラム症(以下,ASD)児の日常生活での苦痛や困難についての理解の難しさや専門職である支援者の情報共有の難しさに対して,ASD児の大域的な情報を集める手法を確立し,集められた大域的な情報を機械学習で解析するシステムを開発することを目的としている. 初年度は,ASD児の感覚特性による困難や対処について家族はどのような共有の形を望むのか,について情報を収集し,収集した情報を整理し,仕様設計をまとめてシステムの開発に着手する予定であった. 昨年度から聞き取り調査はすでに開始していたため,本年度前半はシステム開発で必要となる技術やデータ分析の手法についての調査を行った.技術展や工学系の研究会に参加し,知見を得ることができた.また,これまでに開発を行ってきた感覚特性サポートアプリ「YOUSAY」はASD児のプロフィールや感覚特性による困難や対処を記録し,電子的に記録された情報から検索や一覧表示して情報を整理することが可能であった.本年度はこのYOUSAYを精査し,情報記録の簡便さや情報共有の利便性を高めるためにユーザインタフェースを含めたデザインを一新した.さらに,記録された情報をデータベースに登録し,信頼できる支援者と家族間でオンラインで情報共有できる仕組みを構築した.研究分担者とアプリの試用による動作確認や使用感についてのレビューを行い,おおむね良好な評価を得た.YOUSAYの機能やデザインについて研究会で発表をしたところ,その意義を認められ高評価であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画は,ASD児の感覚特性による困難や対処について家族はどのような共有の形を望むのか,について情報を収集し,収集した情報を整理し,仕様設計をまとめてシステムの開発に着手する予定であった.また,これまでに開発を進めてきた感覚特性サポートアプリ「YOUSAY」をベースに機能を追加し,情報共有の利便性を高める予定であった.YOUSAYは感覚特性と紐づけて,困難や対処などを記録することができるアプリである.特に,ユーザーが情報を入力および提供する際のインタフェース,情報を管理するデータベース,オンラインで情報共有するための通信,オンラインで情報共有する際の管理システムを構築をする予定であった. これらの計画を予定通り遂行しており,順調に進展している.まず,これまでに開発を進めてきたYOUSAYのインタフェースを一新し,ユーザーが情報を入力および提供する際のインタフェースの利便性を大きく向上した.例えば,感覚特性に紐づけて情報を入力する際に,「視覚」「聴覚」「前庭感覚」としていたところを「見る」「聴く」「姿勢を保つ」などのように平易な言葉に置き換えた.また,児の感覚特性の特徴をチャート図で一目で把握できるYOUチャートをアプリとして実装した.また,従来のYOUSAYはスタンドアロンで本体にのみデータを保存しており,情報共有は画面を見せるか印刷するか,で行っていた.オンライン共有の機能を実装し,信頼できる人(学校の先生や専門職の支援者など)にだけ,見せたい情報だけを共有できる仕組みを構築し,アプリとして実装した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,これまでに開発を行ってきたASD児の感覚特性サポートアプリ「YOUSAY」の情報記録の簡便さや情報共有の利便性を高めるためにユーザインタフェースを含めたデザインを一新し,記録された情報をデータベースに登録し,信頼できる支援者と家族間でオンラインで情報共有できる仕組みを構築した. 次年度は,このプロトタイプモデルを一般にモニター調査を行う予定である.モニター調査の協力者は,これまでの自閉症学会のシンポジウム参加者や,これまでに協力依頼を行っていたASD児の家族,関連施設および専門職の支援者の了解を得ている.離島の家族や震災や水害を経験した家族も含まれており,情報の行き届きにくい環境での有用性や,もし災害時にシステムがあれば役に立つのか,などのレビューも得られる予定である.研究会や学会などでの発表を通して協力者をさらに募っていく予定である. モニター調査の期間には,機械学習のシステム開発を行う.システム構築には先行研究(17K13255)と同様にgoogle社が開発した機械学習のプラットフォームであるTensorflowを用いる予定である.蓄積された情報をもとにデータ分析を行う技術支援のための研究協力者もすでに内諾を得ている. また初年度に開発したYOUSAYを一般公開しリリースする予定である.当初の研究計画では,最終年度にすべての機能を実装してからリリースする予定であった.しかし,情報の記録や整理,共有の機能であったも十分に助けになると考えている.データ分析を行った結果は,最終年度にアップデートする形で機能実装し公開する予定である.
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