研究課題/領域番号 |
22H00997
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
市瀬 智紀 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (30282148)
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研究分担者 |
吉田 剛 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (10431610)
田端 健人 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (50344742)
本図 愛実 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (70293850)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ESD / 変容的行動 / 社会情動的スキル / SDGs |
研究実績の概要 |
本研究は、「学校教育におけるSDGsを達成するための児童生徒の社会情動的スキル・コンピテンシー(非認知的能力)の獲得を可視化する」こと、そして「検証の結果を学校教育・実践の改善に結びつけ、変容的行動の循環を促す」ことである。そのために、1.学校で実践されるSDGsの探究型学習、課題解決型学習(Problem-Solving-Learning)等によって育成される社会情動的スキルに関する計量的な検証を行う。2.社会情動的スキルと知識・技能、思考力・判断力・表現力等との関連を明らかにすることで、探究型学習、課題解決型学習を行うことの意義を明示する。3.これらの成果を比較検証しながらPDCAで教育的手法の改善を行うことで、国際行動計画「ESD for 2030」の求めている「変容的行動(Transformative Action) 」を促す。以上の3つを目的としている。1.については、国内外の複数の小中高等学校のSDGsの達成を学習目標とする探究型・課題解決型学習の実践の評価方法(ポートフォリオ、ルーブリック、パフォーマンス等)と評価データ、社会情動的スキルにかかわる評価項目のデータを収集した。2.については、「ESD for 2030」に取り組む一つの教育委員会の協力を得て、全国学力学習状況調査等を活用して、探究型学習(Problem-Solving-Learning)と学力、社会情動的スキルとの相関性を分析した。3.については、教育委員会主催の教員研修と教職大学院のカリキュラムにおいて、変容的行動を促す課題解決・探究型学習の授業実践についての考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.SDGsの探究型学習、課題解決型学習(Problem-Solving-Learning)等によって育成される社会情動的スキルに関する計量的な検証を行うことに関して、4つの学校の具体的なデータを分析し、2つの学校のデータ分析について“UNESCO School Network (ASPnet): Collaborative Action Research on the Role of Schools in Achieving SDGs in Asia-Pacific”において発表した。2.社会情動的スキルと知識・技能、思考力・判断力・表現力等との関連を明らかにすることについては、全国学力学習状況調査(令和3年度)を分析した結果、探究型学習と社会情動的スキルの関係について全国的に中程度の相関がみられることを明らかにした、またESD for 2030 に取り組む一つの教育委員会の協力を得て、教科の学力と探究型学習、社会情動的スキルの関係について分析し、基本的なデータを得ることができた。3.については、海外の研究成果を踏まえながら、教育委員会主催の教員研修と教職大学院において、変容的行動を促す課題解決・探究型学習の授業実践の展開について検討を行った。その成果については、日本比較教育学会および日本学術会議で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
1.SDGsを学習目標とする課題解決・探究型学習(Problem-Solving-Learning)によって育まれる評価方法と社会情動的スキルの内容(要素・項目)についての研究(主担当:市瀬・吉田)国内外の小中高等学校のSDGsの達成を学習目標とする課題解決・探究型学習の実践の多様な評価方法(ポートフォリオ、ルーブリック、パフォーマンス等)のデータを整理する。次に、社会情動的スキルの内容(要素・項目)を精査し、自己効力感や社会的責任の自覚や自己の確立といった要素の中から、変容につながる社会情動的スキルについて考察する。 2.SDGsに関わる社会情動的スキルを客観的に把握するための可視化の方法の研究(主担当:田端・本図)SDGsを学習目標とする課題解決・探究型学習(Problem-Solving-Learning)の成果検証データについて、全国学力学習状況調査等を活用して社会情動的スキルと知識・技能、思考力・判断力・表現力等の認知スキルとの関連を検討にする。そして、探究型学習、課題解決型学習を行うことの意義を明確化する。 3.校内研修、教員研修、教職大学院の場におけるフィードバック(主担当:本図・吉田)教育委員会主催の教員研修の場で成果を提示し実践の改善の効果を検証する。教職大学院において、変容的行動を促す課題解決・探究型学習の実践について検討を重ねる。そして、実践とその効果測定、検証、実践の改善という一連のサイクルを創り出す。 4.複数の国と地域へ発信し学校実践の成果を国際的に比較・検証する(主担当:市瀬・全員)海外の論考や実践事例を収集し分析する。ESD for 2030の推進において主要な役割を果たしている海外の組織・機関と連携して研究活動を行うとともに、本研究の成果を示し、評価を受ける。
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