研究課題/領域番号 |
22H01008
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
池田 吏志 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (80610922)
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研究分担者 |
児玉 真樹子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (10513202)
茂木 一司 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (30145445)
竹林地 毅 広島都市学園大学, 子ども教育学部, 教授(移行) (50332169)
笠原 広一 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (50388188)
手塚 千尋 明治学院大学, 心理学部, 准教授 (20708359)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 美術教育 / インクルーシブ教育 / 団体・組織との連携 / 美術館・博物館 / 障害 / ICT / アート / 特別支援学校・学級 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大学、自治体、社会教育施設、NPO、特別支援学校・学級が連携し、学校教育と障害者福祉の接続を社会実装するアートベース・プログラムを開発・実施・検証することである。 そのために、令和4年度には、次の取り組みを行った。1)広島県、広島県立美術館、広島県アートサポートセンター、広島支援機器研究会、広島大学との連携による、障害のある人を対象とした対話型鑑賞、2)広島県あいサポートアート展における遠隔操作ロボットを活用した鑑賞活動、3)広島県立歴史博物館、広島大学附属東雲小学校特別支援学級、広島県アートサポートセンター、広島支援機器研究会、広島大学の連携による遠隔操作ロボットを活用した学習プログラムの開発・実施、4)イタリアの学校におけるフルインクルージョンの実態調査および自治体・非営利団体・美術館の連携によるアクセシビリティの取り組みの実態調査、5)アートベース・リサーチと障害学の複合領域を牽引する海外の研究者による学会での基調講演。 令和4年の成果は、特別支援学級に在籍する学齢期の児童と、主に特別支援学校を卒業し福祉施設で生活する人達の両方を対象に、遠隔操作ロボットを活用した美術館、博物館の鑑賞プログラムを実施できた点である。もちろん運営上改善すべき課題は多く存在するが、どちらも参加者の主体的な活動が実現した。また、本事業は、実施日のみならず、事前打ち合わせやロボットの事前練習、省察を含む活動であったため、連携する各組織の関係者や参加者と頻繁に会合し、進捗状況を共有しながら進められた。特別支援学校・学級在学中と卒業後の接続を構想する上で、両者が参加可能であり、複数の組織が連携できる実施体制を形成できたことは、今後に繋がる成果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成果発表として、継続して研究している組織間連携のアートプロジェクトをまとめた論文が国内外の学術誌に掲載された。また、今年度予定していたプロジェクトの多くが、予定通り実施できた。さらに、当初予定していなかった広島県立歴史博物館との連携による遠隔ロボットを使った鑑賞学習の取り組みは、事前学習、事後学習、成果物の制作、博物館での展示を含む学習プログラムとして各組織が主体的に関わりながら開発・実施できた。また、コロナ感染症の状況が落ち着いたことで海外での実態調査も可能になり、分担研究者の協力により、イタリアの学校、美術館でのインクルージョンの取り組みも取材できた。また、同じく分担研究者の協力により、アートと障害の複合領域研究における第一人者である海外の研究者の学会での基調講演も実現した。このように、ほぼ予定通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度に着手したプロジェクトを継続・発展させる。また、2022年度に取り組めていなかった事業にも着手する。具体的には、特別支援学校を対象に、遠隔操作ロボットを使ったアート学習プログラムの開発を行う。また、教員養成課程でのアートを通したインクルーシブマインドの育成に向け、障害者と共に劇団を主宰するパフォーマンスアーティストを招聘し、学生向けのワークショップを実施する。また、2022年度に実施したプロジェクトの公表に向け、論文執筆や学会発表、公開シンポジウムを行い、成果を共有する。
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