研究課題/領域番号 |
22H01067
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
大貫 麻美 白百合女子大学, 人間総合学部, 教授 (40531166)
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研究分担者 |
LASSILA ERKKI・TAPIO 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (70945360)
走井 洋一 東京家政大学, 家政学部, 教授 (30347843)
隅田 学 愛媛大学, 教育学部, 教授 (50315347)
原口 るみ 東京学芸大学, 教育学研究科, 准教授 (60445468)
三宅 志穂 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (80432813)
西垣 佳織 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (90637852)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | サスティナビリティ・コンピテンシー / 幼児教育 / STEAM教育 / 科学教育 |
研究実績の概要 |
現代の科学教育に強く期待されている「持続可能性のある社会の構築を能動的かつ協働的に実現していく力(サスティナビリティ・コンピテンシー)」の涵養について,国内外の知見を収集・整理した。生涯にわたる人間形成の基盤が構築される幼児期から継続的なコンピテンス基盤型教育の重要性が国際的に周知されているが,たとえば生命に関する科学的理解を育む生命科学教育について,日本では,幼児期から小学校低学年において,science(科学教育・理科)科目の設置はされていない。生命科学教育に関する幼児教育スタンダードが設置されている米国,オーストラリア,フィリピンの教育内容,日本と同様に生命科学に関する科目設置のないフィンランドにおいて行われているコンピテンス基盤型幼児教育について調査,分析を行い,これらの知見を基に,幼児期に育成が期待される生命科学に関する資質・能力について整理をした。それらと,日本の幼稚園教育要領を参照しながら考察を行い,日本の幼児教育では領域「健康」,領域「人間関係」,領域「環境」,領域「言葉」,領域「表現」の五領域全体を横断する形での学びが期待されることを示した(大貫・鈴木, 2023)。 また,日本理科教育学会全国大会で以下の課題研究を実施し,日本の幼児教育においてサスティナビリティ・コンピテンシーの基盤を構築するために実施可能なSTEAM教育プログラムの立案の視点に関する研究協議を行い,整理した。 「サスティナビリティ・コンピテンシーの基盤を培う幼児向けSTEAMプログラムの開発をめざして」(オーガナイザー:大貫麻美,登壇:隅田学,ラッシラ・エルッキ・T,西垣佳織,走井洋一,原口るみ,指定討論:三宅志穂)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた研究計画内容のうち,文献資料を中心にした調査分析については滞りなく実施できたが,新型コロナウイルス感染症等の流行の影響が収まらず,幼児教育施設への訪問調査や,幼児を対象としたSTEAM教育プログラムの試行を計画通り2022年度中に行うことが難しかったため,一部,計画していた調査ができなかった。しかし,これらの調査等については,状況に即して計画を見直し,2023年度以降に繰り越して実施する目途をつけることができた。そのため,「遅れている」ではなく「やや遅れている。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画当初には想定がされていなかった新型コロナウイルス感染症の流行・拡大により,幼児を取り巻く保育・教育環境に大きな変容があった。そのため,当初は幼児教育施設内での活動を想定して計画をしていたが,オンラインを適切に活用した教育プログラムや,保育・教育施設外での親子を対象とした小規模な教育プログラムの実施など,従前より広範に幼児教育の機会をとらえ,適したSTEAM教育の立案を検討することがこれからの教育プログラムの検討に際してより適切であると判断し,それらに呼応して,今後の研究の対象についても視野を拡大することとした。 2023年度においては,今年度の成果をふまえ,具体的な幼児向けSTEAM教育プログラムの立案を進め,試行調査に着手することとする。その成果分析をふまえ,2024年度以降の本調査等の準備を行うこととする。 また,国内外の学会等でサスティナビリティ・コンピテンシーの涵養に資するSTEAM教育の開発に寄与する最新の知見を得るとともに,研究成果について質疑応答をふまえ精査することとする。それらに加え,国内に既存の幼児向け科学教育プログラムについても,サスティナビリティ・コンピテンシーの涵養に資する活動を含むものがあるか,検証を進めることとする。
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