研究課題
本研究は,加齢と内受容感覚が認知情動処理に与える影響を検討することを目的としている。初年度である本年度は,若年成人を対象として,若年成人において内受容感覚の影響が一貫して認められる実験パラダイムを確立することを目指した。一口に「認知情動処理」と言っても、その中には様々な処理が含まれている。その中でも,本年度は,意思決定に注目した。意思決定は,これまでの実証研究の結果や理論的観点から、加齢と内受容感覚が影響することが特に期待されるものである。なお,内受容感覚の影響に関しては,従来の研究では,もっぱら心拍カウント課題や心拍変動といった個人差の指標が用いられてきた。こうした個人差指標では内受容感覚の因果関係を確立することが難しい。そこで本年度は,個人差指標だけでなく,バイオフィードバックによる実験的操作を確立させることを目指した。実験の結果,バイオフィードバックにより内受容感覚が高まると,リスク行動が減少することが示された。また,高齢者と若年成人の意思決定に影響を与える要因についての基礎研究も実施し,両者の類似性を確認した。更に、内受容感覚を表す個人差として,心拍カウント課題やHRVをとりあげ,両者には弱いながらも関連があることも示された。
2: おおむね順調に進展している
予定通り、若年成人を対象として実験パラダイムを確立することができた。
本年度に確立したパラダイムを発展させ、意思決定以外の認知情動処理にも展開する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Cognitive, Affective, & Behavioral Neuroscience
巻: 23 ページ: 809-826
10.3758/s13415-023-01082-8