研究課題/領域番号 |
22H01106
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
田中 章浩 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (80396530)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | コミュニケーション / オンライン / 視聴覚統合 / 時空間特性 / 感情 |
研究実績の概要 |
Zoom等のウェブ会議システムを利用したオンラインでのコミュニケーション場面では,音声と映像にタイミング差や速度差が生じたり,映像のサイズや解像度が十分ではなかったりすることも多い。本研究では,このような最適ではない状況における人間の視聴覚統合の時空間特性を言語理解と感情知覚の両面から検討する。初年度である令和4年度は,研究1について検討を進め,感情表現の含まれる発話動画を用いて,視聴覚の時間・空間操作が感情知覚に及ぼす影響について,日本人参加者を対象とした実験を実施した。
研究1-1では時間特性を操作した。映像と音声のタイミング差および速度差を操作して,人物が感情をこめて発話している動画を呈示し,視聴後に人物の感情を回答させた。タイミング差は,視聴覚同期を基準として,500ms音声先行~500ms音声遅延の範囲で操作する。速度差は,映像の再生速度は固定したうえで,音声の話速が映像より遅い音声伸長条件(最初は同期しているが,次第に映像より音声が遅延し,時間差が拡大),音声の話速が映像より速い音声圧縮条件(最初は同期しているが,次第に映像より音声が先行し,時間差が拡大)を設けた。実験の結果,タイミング差は音声先行200ms・音声遅延200msでは視聴覚同期時と同等の正答率であった。一方,音声先行500ms・音声遅延500msでは多感覚呈示の効果は消失した。速度差は音声圧縮条件のほうが音声伸長条件よりも全体的には正答率が高かったが,効果は非線形であった。
研究1-2では空間特性を操作した。話者の表示サイズ(全画面100%~縦横幅5%)および解像度(フル解像度~量子化13×13ボクセル)をパラメトリックに操作した実験を実施し,視聴覚感情知覚における空間特性について検討した。実験の結果,表示サイズが縦横幅20%以下になると全画面サイズより正答率が低下した。解像度は量子化25×25ボクセル以下になると正答率が顕著に低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。当初予定の3項目のうち,項目1の検討が予定以上に進展した。項目2および項目3の実験準備も順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
ここまで順調に進展しているため,2024年度も当初の計画通りに研究を実施する予定である。
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