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2022 年度 実績報告書

量子曲線に基づく量子パンルヴェ方程式の構築と応用

研究課題

研究課題/領域番号 22H01116
配分区分補助金
研究機関神戸大学

研究代表者

山田 泰彦  神戸大学, 理学研究科, 教授 (00202383)

研究分担者 太田 泰広  神戸大学, 理学研究科, 教授 (10213745)
高山 信毅  神戸大学, 理学研究科, 教授 (30188099)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード量子曲線 / アフィンワイル群 / 量子モノドロミー保存変形 / AGT対応 / ゲージ理論 / 分配関数
研究実績の概要

本研究の申請時に、「非可換な『量子曲線』の観点から離散パンルヴェ方程式を考察し、その量子化を目指す」ことを研究目的とした。また、「この問題が数学や数理物理の様々な分野と関連しており、それらとの相乗的発展が期待される」とした。申請時において、量子モノドロミー保存変形、特に差分系の場合の研究は限られたものであったが、2021年のS.Shakirovの結果を契機として新たな進展が生まれつつある。本年度の研究において、研究代表者は、粟田英資、長谷川浩司、菅野浩明、大川領、S.Shakirov、白石潤一との共同研究により、Shakirovが構成した方程式に関して、以下のことを明らかにした。(1) Shakirovの方程式はJimbo-Sakaiのq-変形パンルヴェVI型方程式の長谷川による量子化と等価である。(2) 方程式の背景にaffine D5型Weyl群の非可換変数による表現がある。(3) 自励的な場合に保存量が存在し、その保存量は期待される量子曲線と一致する。(4) 方程式の形は微分の場合(4dゲージ理論に対応)と大きく異なりqを1にする極限は非自明であるが、その極限を適切にとることができて微分の場合の結果を正しく再現する。さらに、AGT対応、微分の場合の結果、計算機実験等に基づいて、Shakirov方程式の級数解が5次元ゲージ理論の分配関数で表されることを予想し定式化した。
上記以外にも、以下の成果があった。山田は量子曲線をミラー対称性へ応用する計算手法について整理した。分担者の太田は離散非線形シュレーディンガー系について、rogue wave 解の構成を一般化した。分担者の高山は、交点数理論等を応用して Feynman 積分の研究を進展させた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画ではWeyl群の非可換表現から導いた量子曲線についての研究(特にスペクトル等)を主要課題としていた。Shakirovの結果も包括するべく戦略を一部変更したことにより、より広い観点から問題が捉えられるようになった。その方向の研究は順調に進展中であり、Shakirov方程式に関する以下の結果を得た。(1) Shakirovの方程式はJimbo-Sakaiのq-変形パンルヴェVI型方程式の長谷川による量子化と等価である。(2) 方程式の背景にaffine D5型affine Weyl群の非可換変数による表現がある。(3) 自励的な場合に保存量が存在し、保存量が期待される量子曲線と一致する。(4) 方程式の形は微分の場合(4dゲージ理論に対応)と大きく異なりqを1にする極限は非自明であるが、その極限を適切にとることができて微分の場合の結果を正しく再現する。さらに、AGT対応、微分の場合の結果、計算機実験等に基づいて、Shakirov方程式の級数解が5次元ゲージ理論の分配関数で表されることを予想し定式化した。これらは次の論文としてarXivに発表し専門誌に投稿中である。
H.Awata, K.Hasegawa, H.Kanno, R.Ohkawa, S.Shakirov, J.Shiraishi, Y.Yamada,
``Non-stationary difference equation, affine Laumon space and quantization of discrete Painlev\'e equation"
[arXiv:2211.16772]

今後の研究の推進方策

研究代表者は、粟田英資、長谷川浩司、菅野浩明、大川領、S.Shakirov、白石潤一との共同研究を継続し、Shakirovの方程式の構造を解明する。これと同時に、解に関する予想についても、その証明の手がかりが既に得られており、証明を完成させて論文にまとめることを目指す。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] アフィンWeyl群の非可換表現と量子曲線2022

    • 著者名/発表者名
      山田泰彦
    • 雑誌名

      RIMS講究録

      巻: 2216 ページ: 1-14

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] General rogue wave solution to the discrete nonlinear Schr\"odinger equation2022

    • 著者名/発表者名
      Ohta Yasuhiro、Feng Bao-Feng
    • 雑誌名

      Physica D: Nonlinear Phenomena

      巻: 439 ページ: 11.pp

    • DOI

      10.1016/j.physd.2022.133400

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Introduction to isomonodromic deformation2022

    • 著者名/発表者名
      山田泰彦
    • 学会等名
      Workshop ``Kyiv公式とその周辺",
    • 招待講演
  • [学会発表] Geometry of quantum discrete Painlev\'e equations2022

    • 著者名/発表者名
      Y.Yamada
    • 学会等名
      ICM2022 Satellite IDPEIS Conference
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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