研究実績の概要 |
研究代表者(山田)は、Shakirov方程式の研究を継続した。これは、粟田英資、長谷川浩司、菅野浩明、大川領、S.Shakirov、白石潤一との共同研究である。2022年度までに得られていた結果(量子q-変形パンルヴェVI型方程や量子曲線との関係、sl(2)型アフィンローモン分配関数による解の予想など)をまとめた論文は、2023年11月に出版された。2023年度は、上述の解の予想を中心に研究を進めた。Shakirov方程式は基本表現物質場の質量に相当する4個のパラメータを持つが、このうちの2個を整数値に特殊化した場合に、ローモン分配関数とq-KZ方程式の4 点相関関数とが対応することがわかる。これによりq-KZ方程式とその解のJackson積分表示が、上記の予想の証明に基本的な役割を果たすことが期待された。実際、Shakirov方程式とq-KZ方程式の関係およびローモン分配関数とq-KZ方程式のジャクソン積分解の関係を精密に比較することで予想が証明された。この結果は次のプレプリントとしてまとめ、いくつかの学会・研究集会等で発表した。 H.Awata, K.Hasegawa, H.Kanno, R.Ohkawa, S.Shakirov, J.Shiraishi and Y.Yamada, ``Non-stationary difference equation and affine Laumon space II: Quantum Knizhnik-Zamolodchikov equation," [arXiv:2309.15364v2 [math.QA]] その後、sl(n)型アフィンローモン分配関数についてもq-KZ方程式との関連が見えてきた。対応する方程式の解明を中心に研究を進めている。 上記の結果も含め、離散的量子モノドロミー保存変形方程式においても、一般q-超幾何函数のような特殊函数が重要な役割を果たしている。こうした特殊函数やその拡張についての研究も進展中である。
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