研究課題/領域番号 |
22H01186
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
川勝 年洋 東北大学, 理学研究科, 教授 (20214596)
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研究分担者 |
今井 正幸 東北大学, 理学研究科, 教授 (60251485)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マルチスケールシミュレーション / 粘弾性 / SPH法 / べシクル |
研究実績の概要 |
高分子と界面活性剤の混合溶液の複雑流動の階層計算の実現のために、マクロ流動を外部から制御する機構と、流体内部での自発的構造形成の機構を再現する計算アルゴリズムを開発した。複雑流体の階層計算には、我々が開発してきたMultiScale Simulation Platform for complex flows(MSSP)をもちいた。 マクロ流動の制御の検証のためには、細管内のチャンネル流中に可動翼を取り付けた系を例として考え、この可動翼を動かすことで翼にはたらく力を計算した。MSSPのもつ移動境界の取り扱いの容易さを利用して、可動翼を流体中で回転させ、チャンネル流に対する稼働翼の迎え角を変化させた。チャンネル流を構成する複雑流体としては、高重合度高分子を表す線形粘弾性の連続体モデル及び、DNAのような強い伸び切り効果を持つ高分子鎖のモデルであるFENE粒子モデルを使用し、これらの結果をニュートン流体の場合と比較した。計算結果から、回転翼後方に生じる渦列の発生周波数と複雑流体中の高分子の緩和時間及び伸び切りの強さに強い相関があることが示された。この結果は、複雑流動の制御においてミクロとマクロの両方のスケールでの同時制御が必要であることを示しており、MSSPの機能拡張のための指針を得ることができた。 上記の計算と並行して、界面活性剤ミセルを含む流体中での液滴の変形と界面活性剤の拡散過程の共同現象をシミュレートできるようにMSSPを拡張した。ミセルの変形による応力はダンベル集団を用いた分子モデルで表現し、界面活性剤の数密度場の拡散とカップルさせた。液滴の界面上での界面活性剤の数密度場の拡散により、液滴の界面張力が変動と流動変形が誘起される「マランゴニ効果」も再現できるようになった。 このように、MSSPの界面活性剤系への拡張と大規模計算をおこない、定性的な確認及び動作テストをおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従ってMSSPの拡張と検証が進んおり、2022年度に計画していた開発課題である以下の3課題を実現できた。 ・流動中の障害物の表面での移動境界問題を扱えるようにMSSPを拡張する。 ・各流体粒子に内包するミクロシミュレータ間での物質のやり取りをMSSPに取り入れる。 ・MSSPのアルゴリズムの拡張し、並列化性能を高める。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進展しており、今後も当初の目的に沿ってMSSPの開発を行う。 2022年度の研究で開発したMSSPのコンポーネントを融合することで、移動境界条件の下で物質拡散を含めた複雑流動をシミュレートできる枠組みが実現できるため、その方法論を界面活性剤膜の流動と変形に適用し、マランゴニ効果など非定常・非線形の効果をシミュレートする。
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