研究課題/領域番号 |
22H01196
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
大津 康徳 佐賀大学, 理工学部, 教授 (50233169)
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研究分担者 |
田原 竜夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究チーム長 (10357478)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 新規ホロー磁化放電 / 高密度水素プラズマ / 高出力負イオン源 / 高周波ハイブリッドプラズマ / ナノ構造体 / レーザ光脱離法 |
研究実績の概要 |
核融合エネルギーのキー技術となる核融合プラズマ加熱電流型中性粒子ビーム装置では、低気圧かつ高密度プラズマを有する高出力の負イオン源が必要とされている。そのプラズマ生成方式には、誘導結合型放電方式と熱陰極を用いた直流アーク放電方式があり、精力的に研究が行われている。しかしながら、それらの放電を長時間安定駆動させるためには、「アルカリ金属フリー」、「高密度・低電子温度」、「メンテナンスフリー」の3つが、核融合プラズマの安定駆動の観点から大きな障壁となっており、喫緊かつ切迫した課題である。本研究では、「非アルカリ金属表面のナノ構造化」した「ネオホロー電極」により、「アルカリ金属フリー」「高密度・低電子温度」 「メンテナンスフリー」を実現させる新規ホロー磁化放電を確立し、高密度水素プラズマ生成を実現することを目的とする。 水素ラジカル源を追加したホロー電極を用いた高周波ハイブリッドプラズマCVD装置を構築した。高周波容量結合プラズマ装置の側面から誘導結合放電型(ICP)水素ラジカル発生装置、メタンガスと水素ガスの流量計を接続し、装置下部に基板加熱付きホルダーを設置した。以下の具体的な研究を実施した。 基板ホルダーの加熱ヒーターから不純物(水分や油分)を除去するために、延べ1週間半の期間、ヒーターを450℃まで加熱させてデガスを行った。その後、プラズマ特性を明らかにするために、高周波ハイブリッドプラズマCVD装置内にラングミュアプローブを挿入し、容器壁に対して-70Vにバイアスしたときにプローブに流入するイオン飽和電流を計測し、高周波ハイブリッドプラズマCVD装置の特性を明らかにした。具体的にプラズマ密度は全体電力でなく、容量結合プラズマ電力に強く依存することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に入っても、コロナ禍による半導体素子部品や機械部品の不足により、ナノ構造体合成のための高周波ハイブリッドプラズマCVD装置の部品の調達に遅れが生じた。高周波ハイブリッドプラズマCVD装置の構築ができたのが2022年12月末であった。その影響もあり、1月から3月上旬まで水素ガスのみを用いてプラズマの安定放電やプラズマ特性を実施することができたが、カーボンナノ構造体合成に必要な流量計の納品が2月下旬までかかったため、カーボンナノウォールを合成できるまでに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に、高周波ハイブリッドプラズマCVD装置の安定放電とプラズマ特性を明らかにすることができた。2023年度に入って、メタンガス流量計を設置し、メタンガスと水素ガスの混合ガスを用いてカーボンナノウォールを合成する実験条件を探索することにできる。2023年度の早い時期に、カーボンナノウォール合成の最適条件を明らかにし、2023年度研究計画に迅速に取り組む予定である。
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