今後の研究の推進方策 |
水素ガス雰囲気下で中性子照射した試料は、WおよびW-5%Re合金のディスクである[1,2]。400℃において、平均原子はじき出し回数が0.02および0.1となるまで照射を行った。また比較のため、同様の試料を不活性ガス(ヘリウムガス)雰囲気でも中性子照射した。これらの試料を東北大学金属材料研究所附属量子エネルギー材料科学国際研究センターに輸送したうえで、陽電子寿命測定を行い、水素同位体のトラップサイトとして働く空孔クラスタの密度とサイズ分布に及ぼす共存水素の影響を明らかにする。さらに、これらの試料を200℃程度で重水素(D)プラズマに曝露したのち、昇温脱離法でD蓄積量を測定する。これにより、照射時共存水素が水素同位体蓄積容量に与える影響を評価する。 また、電子線を照射した試料の一部を200℃程度でDプラズマに曝露し、単空孔および空孔クラスタをDで飽和させる。Dを含む試料と、含まないものを真空中で300~500℃に加熱し、空孔クラスタのサイズ分布の経時変化を陽電子寿命法で評価する。この結果より、空孔の集合速度に及ぼす共存水素同位体の影響を明らかにする。
[1] 波多野雄治, 外山 健, 富山大学水素同位体科学研究センター研究報告, 39, 25-35 (2019). [2] N. 0. Cetiner, Y. Hatano,et al., Fusion Eng. Des., 178, 113089 (2022).
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