研究課題/領域番号 |
22H01203
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 宏彦 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (60609981)
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研究分担者 |
林 祐貴 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (00823387)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 非接触プラズマ / 対流輸送 / 非拡散的輸送 / 不安定性 / 能動制御 / ダイバータプラズマ |
研究実績の概要 |
本研究では、特徴的な3つのダイバータプラズマ模擬装置(直線型装置NAGDIS-II, 超伝導直線装置Magnum-PSI, トーラスNAGDIS-T)を用いて、摂動印加時における再結合フロント中の不安定性と輸送の応答を高時空間分解能で計測する。不安定性・輸送振幅を決定づけるキーパラメータの同定を行い、能動的な制御手法を新たに開発することを目的とする。さらに、プラズマ密度・磁場強度・磁場構造に対する依存性を明らかにすることで、原型炉条件における制御性の外挿評価を試みる。 初年度である2023年度は、直線型装置NAGDIS-IIにおいて、磁力線に沿う複数窓を同時に視野内に収めた高アスペクト比での高速発光計測を可能とするため、NAC社製高速カメラ(ACSシリーズ)を導入した。静電プローブを併用した条件付き平均計測を行うことで、不安定性・対流輸送出現時の発光信号を取得するとともに、剛体回転を仮定したトモグラフィ解析により磁場垂直面・軸・時間の4次元的な不安定性・輸送の時空間挙動を取得した。さらに、摂動印加法の一つとして考えている電子ビーム源を製作して非接触プラズマに適用し、その初期結果を得た。また、高速分光計測を行い、再結合発光挙動が先行研究における電子密度・電子温度の時空間発展と整合することを確認した。 超伝導直線装置のMagnum-PSIでは、強磁場環境における高速カメラと静電プローブの同時計測信号を新たに取得した。今後、上記トモグラフィ解析を適用することで、磁場垂直面内および時間の3次元的な発光信号挙動を明らかにする予定である。 トーラス型装置NAGDIS-Tでは、電子ビーム源を設置するための差動排気システムの整備を行った。今後、電子ビームの適用と高速カメラ計測を行い、磁場の勾配、曲率、ならびに長い磁力線環境が不安定性・輸送にもたらす影響を調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NAGDIS-IIでは、高速カメラ・静電プローブ同時計測ならびに解析と、摂動印加法としての電子ビーム源の適用を独立に行い、それぞれ一定の成果が出ている。今後は両者を組み合わせることで、目的の一つである摂動印加時における再結合フロント中の不安定性と輸送の応答を高時空間分解能計測できるものと考えている。Magnum-PSI実験では、強磁場環境のみならずパルスプラズマ重畳時の計測を実施しており、当初想定していなかった摂動印加法として新たな知見が得られる可能性がある。 以上のことから、2022年度における総合評価を(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
NAGDIS-IIでは高速カメラ・静電プローブによる計測・解析法と、電子ビーム源の適用を組み合わせ、摂動印加時の不安定性と輸送の応答を調査する。Magnum-PSIの強磁場データならびにパルス重畳データの解析を行い、NAGDIS-IIとの比較を行う。NAGDIS-Tへの電子ビーム源設置ならびに初期実験を行う。
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