• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

土壌から植物へのトリチウム移行による有機結合型トリチウム生成量評価とそのモデル化

研究課題

研究課題/領域番号 22H01207
配分区分補助金
研究機関九州大学

研究代表者

片山 一成  九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (90380708)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードトリチウム / 土壌 / 植物 / 有機結合型トリチウム
研究実績の概要

土壌から植物へのトリチウム移行モデルの構築を目指し、特に有機結合型トリチウムに注目した研究を実施している。2023年度は、下記の内容で実施した。
(1)土壌トリチウム移行に関する実験:有機系土壌である泥炭土、無機系土壌であるバーミキュライトをトリチウム水に浸漬し、同位体交換容量を測定したところ、水分保持量および有機物含有量が多い泥炭土の交換容量が多いことを明らかにした。浸漬後の土壌を室温乾燥後、800℃まで加熱し、トリチウム脱離挙動を観測した。泥炭土からは、50℃付近と250℃で水分脱離が観測され、それぞれ有機成分、無機成分に捕捉されていたトリチウムの脱離と考えられる。バーミキュライトからは、100℃付近のみに水分脱離が観測され、吸着水として保持されていたトリチウムと考えられる。泥炭土、バーミキュライト、及びこれらの混合充填層へのトリチウム水透水実験を行った。泥炭土に比べて、空隙の多いバーミキュライトの透水速度が速いことが確認された。いずれの条件でも、入口トリチウム濃度よりも出口トリチウム濃度は減少しており、透水過程においてトリチウムが選択的に土壌に捕捉されることを明らかにした。
(2)土壌-植物トリチウム移行に関する実験:安全性を考慮して、まずは重水を用いた実験を行った。土壌容器の受け皿に重水を注ぎ、マイクロトマトを育成した。採取した部位に対して、真空乾燥法、同位体交換反応法、燃焼法を用いて植物内に移行した重水量を測定した。燃焼で放出された非同位体交換型有機結合型重水素は、全保持量の約1%であった。
(3)土壌-植物トリチウム移行のモデル化:トリチウム水透水実験で得られたトリチウムバランスを提案する物質収支式で解析し、透水トリチウムが泥炭土に捕捉される際の物質移動係数を定量した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、代表的な有機系土壌、無機系土壌に対するトリチウム水浸漬実験、トリチウム水透水実験を実施し、重水を用いた植物実験や重水素測定手法の開発も進めることができた。トリチウムを用いた植物実験も開始するなど、順調に研究が進展した。

今後の研究の推進方策

トリチウム含有土壌での植物の育成など、難しい実験に挑戦し、土壌から植物へのトリチウム移行量の具体的な数値を明示することを目指す。また、これらの成果を整理・モデル化し、土壌から植物へのトリチウム移行シミュレーションの実現を目指す。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Tritium Content in Komatsuna Cultivated in Tritium-Contaminated Peat Soil2024

    • 著者名/発表者名
      Portuphy Michael Ofotsu, Kazunari Katayama & Takahiro Matano
    • 雑誌名

      Fusion Science and Technology

      巻: 80 ページ: 276-284

    • DOI

      10.1080/15361055.2023.2298519

    • 査読あり
  • [学会発表] Deuterium as a substitute for tritium in organically bound tritium analysis in a model tomato plant2023

    • 著者名/発表者名
      Michael PORTUPHY, Kazunari KATAYAMA, Kanta ASAO
    • 学会等名
      30th IEEE Symposium on Fusion Engineering
    • 国際学会
  • [学会発表] Tritium Percolation and Release Behavior in Soil and Mineral Rock Components used for Plant Cultivation2023

    • 著者名/発表者名
      Portuphy Michael Ofotsu, Kazunari Katayama
    • 学会等名
      日本原子力学会2023年秋の大会
  • [学会発表] Tritium Behavior in Soil and Mineral Rock Components used for Plant Cultivation2023

    • 著者名/発表者名
      Portuphy Michael Ofotsu, Kazunari Katayama
    • 学会等名
      15th International Symposium on Fusion Nuclear Technology
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi