研究課題/領域番号 |
22H01255
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
岸下 徹一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80789165)
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研究分担者 |
小杉 亮治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (10356991)
深尾 祥紀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (80443018)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ワイドギャップ半導体 / ピクセル検出器 / 荷電粒子検出器 / シリコンカーバイド / ダイヤモンド |
研究実績の概要 |
本研究では、COMET実験でのエクスティンクションモニターへの応用を目的とした、ワイドギャップ半導体を用いた荷電粒子検出器の開発を行う。令和4年度では、主に(1)センサーの高精細化と(2)中性子線量に対する放射線性能の調査を行った。 まずセンサーの微細化では、1チャンネルあたりの電極面積を微小化することで、各チャンネルに入射する荷電粒子の数を低減し、センサーや信号処理回路のデッドタイムを減らすことができるため、エクスティンクションモニターに要求される計数率耐性を実現する上で必須となる。そこで我々はまず、pn型SiCセンサーの電極を270um角に分割したピクセルセンサーを試作し、低雑音の2次元読み出しASICと接合したハイブリッドピクセル検出器の製作、及び性能評価を行なった。その結果12x12ピクセルの全てのチャンネルから独立に荷電粒子からの信号を検出することができ、特性X線のエネルギースペクトルに関しても非常に高い信号対雑音比でピーク検出できることを確認した。さらにSiCと並行して、ダイヤモンドセンサーに関しても電極構造の微細化を実施し、世界に先駆けてダイヤモンドピクセル検出器からの信号取得に成功した。 次に中性子線量に対する放射線性能の研究では、京都大学複合原子力研究所において、SiCセンサーに逆バイアスである1 kVを印加した状態で中性子を照射し、高電圧がセンサーの耐放射線性能の劣化を加速することがないかを調査した。その結果、中性子線量が10^12/cm^3程度では、放射線耐性に影響が出ないことを確認した。ワイドギャップ半導体センサーへの中性子照射試験は過去に様々な文献で報告があるが、SiCセンサーに1 kVという高圧を印加した状態での結果は報告がなく、実際の物理実験で使用する上で、貴重な知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究において、センサーの微細化技術を確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究では、COMET実験の陽子ビームの時間構造を考慮したエクスティンクションモニター専用の信号処理回路を製作し、その性能評価を実施する。
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