研究課題/領域番号 |
22H01258
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
橋本 拓也 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40870887)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | JWST / ALMA / 銀河形成・進化 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、当初予定していた研究員の雇用開始が2023年度へずれ込むという、やむを得ない事情があったため、2022年度の全額を2023年度へ繰越申請をして、無事に認められた。本稿では2022年度の実績を述べる。予定していたJWSTの第一期観測の一部が順調に開始し、全期間の20%程度のデータを取得した。
国内外の共同研究者と共に、JWSTで取得した最初期のデータ解析を開始した。国外の共同研究者は、JWSTの近赤外分光装置NIRSpecや中間赤外装置MIRIの開発メンバーも含まれ、最新の情報を収集・共有しつつ、データ解析のノウハウ確立に努めた。面分光データの解析パイプラインは、公式が配布しているものを用いると、波長依存するバックグラウンドノイズなどが残ってしまう課題が明らかになった。国内の共同研究者と共に、この原因の特定を進めると共に、独自にパイプラインへの改善を施す準備研究を精力的に進めた。また、観測データと比較することを予定している宇宙論流体シミュレーションFIRSTLIGHTに基づいて、疑似データに対してスリット観測と面分光観測をモック観測することで、両者の方法が物理量に与える系統的なバイアスに関して考察を進め研究発表を行なった。
プロジェクトの両輪の一つであるALMAに関しては、研究チームで追加のデータをALMAの公募観測に提案し、複数採択された。また、ALMAのデータをもとに複数の論文を出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
JWSTのデータは、2022年度に予定されていたものは無事に取得された。予定していた研究員の雇用開始が2023年度へずれ込むという、やむを得ない事情があったため、2022年度の全額を2023年度へ繰越した。JWSTの面分光データの解析は、当初想定していたよりも複雑であり、STScIが公式で配布している解析パイプラインではノイズを十分に取り切れないことが明らかになった。ALMAデータの取得に関しては順調であったものの、JWSTデータ解析に関してはやや遅れいていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究員を雇用し、公式のパイプラインを用いると生じてしまうNIRSpecの面分光データのノイズを除去することを直近の目標とする。データ解析が完了した際には、星雲線モデルを用いて遠方銀河の物理的な性質を求める。また、NIRCamの撮像データに関しても、その解析が完了した際には、星種族合成モデルを用いて銀河の星種族に関する情報を引き出すことを目指す。研究グループには、JWST、ALMA、及び宇宙論シミュレーションの専門家がいるため、その専門性を活かして論文化を進めていきたい。
|