研究課題/領域番号 |
22H01267
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
木坂 将大 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (10639107)
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研究分担者 |
本間 希樹 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 教授 (20332166)
榎戸 輝揚 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20748123)
新納 悠 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (50632163)
村田 泰宏 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (70249936)
三澤 浩昭 東北大学, 理学研究科, 准教授 (90219618)
米倉 覚則 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (90305665)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | パルサー / マグネター / 電波天文学 / 中性子星磁気圏 / 高速電波バースト |
研究実績の概要 |
電波帯域でミリ秒だけ光る新しい突発天体、高速電波バースト(FRB)の起源は依然として未解明である。本研究では、高速電波バースト(FRB)、巨大電波パルス(GRP)、マグネター電波バースト(MRB)の長期電波観測とその比較研究によりこれら3つの関係の有無を明らかにし、また得られた観測的制限に基づいて中性子星磁気圏の数値シミュレーションを実行することで、中性子星磁気圏の物理の枠組みに基づいてFRBの起源の解明を目指す。 1. 日本の電波観測として初めてFRBを検出し、そのデータの解析を行った。このFRBはリピーターであるが、検出した2GHz帯はこのFRBに対してはこれまでに検出されていない高周波帯域であり、また強度の下限 189 Jy もこのFRBに対して過去最高であった。結果から、それ以前に行われていた「繰り返すFRB解放エネルギーの解放エネルギーは、1発だけのFRBに比べ小さい」とする議論の反例を示したことになり、FRB起源の解明の手掛かりを与えた。 2. 飯舘、水沢、臼田電波観測所において、電波観測後速やかに分散遅延解析結果を得るためのGPUを用いたPCを導入し、観測データの高速解析処理を可能とした。 3. CMOSセンサーを用いた可視光観測装置であるTomo-e Gozen(東京大学木曽観測所)やTriCCS(京都大学岡山天文台)によってリピーターFRBを観測し、可視光高速撮像データを取得した。 4. NICER を用いたX線でのマグネターの観測的研究を進めた。 5. 2次元プラズマ粒子シミュレーションを用いて、突発的な粒子生成が起きた時のパルサー磁気圏の振る舞いを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高速電波バーストを日本の電波望遠鏡で初めて検出することは本研究課題の目標の一つであり、これを早期に達成できてFRBの理解を進展させたことは大きな進展である。また、飯舘、臼田、水沢に電波観測後速やかに分散遅延解析結果を得るためのGPUを用いたPCを導入して観測データの高速解析処理を可能としたことで、観測体制を順調に整えることができた。プラズマ粒子シミュレーションも実行可能なコードを開発できた。ただし、2022年7月に発生した飯舘電波望遠鏡駆動系故障のため、実施出来なかった観測があった。
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今後の研究の推進方策 |
臼田電波望遠鏡で2周波帯域で両偏波観測のための改修を完了させ、また日立電波望遠鏡でも電波観測データの高速処理を可能にするGPUを導入することで、観測体制を整える。また、かにパルサーからの巨大電波パルスの長期観測、近傍の高速電波バースト、マグネターからの電波バーストが活性化するタイミングでの電波観測を行う。理論研究面では、粒子生成領域をパラメータとして中性子星磁気圏に対する数値シミュレーション結果の解析を行う。これまで得られた結果を広く公表し、また最新の観測結果などの情報収集のため、中性子星をテーマとした研究会を主催する。
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