研究課題/領域番号 |
22H01286
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大槻 圭史 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00250910)
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研究分担者 |
末次 竜 大島商船高等専門学校, 一般科目, 准教授 (40737334)
杉浦 圭祐 東京工業大学, 地球生命研究所, JSPS特別研究員 (70846344)
田中 秀和 東北大学, 理学研究科, 教授 (00282814)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 巨大惑星 / 衛星形成 / トロヤ群小惑星 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、巨大惑星周囲のガス流からの抵抗を受けつつ周惑星円盤に降着する固体粒子の軌道数値計算により衛星材料物質の供給・輸送過程を明らかにすることである。今年度はまず、原始惑星系円盤から巨大惑星周囲に流れ込むガス流の解析を進め、周惑星円盤へのガス降着における諸量の惑星質量に対する依存性に着目して詳しく調べた。手法としては、我々が先行研究で用いたのと同様の流体シミュレーションコードを用い、惑星質量を幅広い範囲で変えてその依存性を明らかにした。その結果、ガス降着帯の動径方向の幅は惑星質量とともに増加すること、惑星質量依存性は惑星質量が小さい場合と大きい場合によって異なること等が明らかになった。本研究で得られたガス降着帯幅の結果をもとに、周惑星円盤へのガスの質量降着率の準解析解を導出した。この準解析式は今後の惑星形成モデルの構築において有用となり得る。以上の内容は査読付き論文として投稿、出版された。
また、木星衛星系への材料物質供給とも関連して重要である木星トロヤ群小惑星の起源に制約を与えることを目的として、そのサイズ分布データ解析研究を実施した。手法として、すばる望遠鏡の超広視野カメラHyper Suprime-Camで取得された木星L5トロヤ群の微小小惑星のサイズ分布を解析し、同様の方法で得られていた木星L4トロヤ群の微小小惑星のサイズ分布と比較した。その結果、サイズ分布のべき指数は誤差の範囲で一致し、これらが共通のメカニズムを経て捕獲されたという理論モデルと矛盾しないことが明らかになった。これは、現在木星に向かっているNASAの木星トロヤ群小惑星探査機Lucyによる探査に備えて、重要な知見となる。以上の内容は査読付き論文として投稿、出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
原始惑星系円盤から巨大惑星周囲に流れ込むガス流の解析に関する研究は、予定通りに進めることができ、査読付き論文として投稿、出版された。また、木星衛星系への材料物質供給とも関連して重要である木星トロヤ群小惑星の起源解明を目的として、そのサイズ分布データ解析研究を実施し、成果を査読付き論文として投稿、出版された。このほか、巨大惑星のリングおよび小惑星からの微粒子放出に関する査読付き論文に共著者として貢献し、論文が出版された。以上により、当初の予定以上に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上で得られたガス流から受けるガス抵抗を考慮した固体粒子軌道数値計算を実施し、衛星材料物質の供給・輸送過程と、供給される固体粒子の周惑星円盤内での総質量等を明らかにする。また小惑星の観測研究についても国際共同観測提案が採択され観測が進んでおり、引き続き取り組んでいく。
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