研究課題/領域番号 |
22H01300
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
千手 智晴 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (60335982)
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研究分担者 |
張 勁 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (20301822)
磯田 豊 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (10193393)
堀川 恵司 富山大学, 学術研究部理学系, 教授 (40467858)
筒井 英人 長崎大学, 水産学部, 特任研究員 (00774390)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 深海長谷 / 物質輸送 / 富山湾 / 日本海 / 係留観測 |
研究実績の概要 |
陸域-深海間の物質輸送には、両域をつなぐ深海谷内部の流動が重要である。これまでの研究から深海谷内部には谷軸に対して非対称な平均流が存在すると考えられてきたが、これは時期や場所の異なる観測データからの推定であった。本年度は、2021年5~10月に実施した富山深海谷東西両斜面上での同時係留観測のデータを解析した。その結果、深海谷内部の非対称流の存在を実証するとともに、平均流には20~30日の周期変動が重なっており、その振幅は海底に近づくにつれて大きくなることが明らかとなった。これは深海谷内部に捕捉された地形性波動の存在を示唆しており、この振動流が非対称な平均流を駆動している可能性が示された。また振動流のエネルギー源として、上空の風の変動が重要であることが示唆された。さらに複数の流速計データの比較から、海谷内部の波動の時空間構造を推定することができた。
2024年1月に発生した能登半島地震を受けて、学術研究船「白鳳丸」による緊急調査航海が企画された。本計画に、富山深海長谷を通しての物質輸送を調べる目的で参画し、3月の航海で富山深海谷内部に超音波ドップラー流速計(ADCP)と濁度計、水温・塩分計、セジメントトラップを係留した。これらは、2024年5~6月の長崎丸航海で回収の予定である。
富山深海谷を模した矩形谷での数値モデル実験を行い、海谷内部でのジャイロスコピック波の伝播過程について研究を行った。湾奥でのエネルギー収束と、それに起因する乱泥流の発生が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
深海谷内部の非対称な平均流を実証するとともに、変動流の存在とその原因,平均流との関係を議論することができた。また湾口付近に係留した別の流速計からのデータとの比較から、谷に捕捉された地形性波動の伝播や波動のエネルギー源について明らかになりつつある。さらに2024年能登半島地震を受けての緊急航海に参加し、当初予定になかったADCP、濁度計、セジメントトラップの係留観測が実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年3月の緊急航海で係留したADCP、濁度計、セジメントトラップを本年5~6月の長崎丸航海で回収する。これらのデータの解析から、海底近傍での流れの詳細とそれによって輸送されるセジメントの組成、構造などが明らかにできると考えている。さらに5月の調査では、マルチプルコアによる採泥と底生生物の採集を計画しており、2024年能登半島地震前後のデータの比較を通して、地震の影響についても検討を行う。数値モデル実験では、現実に近い海底地形を導入し、モデルの高度化を図る。
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