研究課題/領域番号 |
22H01302
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
今田 由紀子 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 主任研究官 (50582855)
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研究分担者 |
塩竈 秀夫 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 室長 (30391113)
建部 洋晶 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), グループリーダー (40466876)
小坂 優 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (90746398)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | イベント・アトリビューション / 地球温暖化 / 力学的効果 / 大気海洋結合モデル / 季節予測 |
研究実績の概要 |
気候モデルによる大規模実験を駆使して近年の極端現象の発現と地球温暖化との関係を定量的に示す「イベント・アトリビューション」(EA)と呼ばれる研究手法が近年注目を集めている。これまで行われてきたEAでは、気温上昇や水蒸気増加などの熱力学的な効果は定量化し易い一方、極端現象が発生する際の主要因となる極端な気圧パターンなどの循環場が温暖化によってどのように変化するか(力学的な効果)は、大気の内部変動の影響や気候モデル間の差が大きく、検出が難しいことが課題であった。 本研究では、気圧などの循環場を解析対象とし、従来のEA手法において混在していた循環場の「発生」と「成長」過程を分離し、後者に対する温暖化の作用を調べることで力学的な効果の段階的な理解を試みる。手段として、大気海洋結合モデルを用いた季節予測システムを応用した新しいEAシステムを開発する。これらを達成するため、極端現象に対する地球温暖化の力学的効果を探求するメカニズム班と、その手法を用いて極端現象に対する地球温暖化の力学的効果を探求するメカニズム班に分かれて研究を進める。 R4年度は、システム班が、日本における過去のいくつかの極端現象事例を対象に季節予測のアンサンブルメンバー数を増加させる実験を実施した。さらに、初期値化過程に変更を加え、温暖化の影響を除去する「温暖化なし」実験のプロトタイプを作成した。メカニズム班は、既存の大気モデルをベースとしたEAシステムに簡易的な変更を加えた擬似的な予報型のEAプロダクトを作成し、循環場のEAに向けた予備解析を行った。進捗確認のための打合せを、2ヶ月に1回程度の頻度で実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システム班による既存の季節予測システムを応用したアンサンブル増加実験は順調に進み、予備解析に必要なデータを用意することができた。 初期値化過程を改変して温暖化の影響を除去する「温暖化なし」実験は初の試みであるため、予期せぬ不具合が発生する可能性もあったが、試行錯誤を重ねた上で、年度内にプロトタイプを完成させることに成功した。 システム班が開発する新しいEAシステムの完成を待つ間に、メカニズム班では、大気単体モデルを用いた簡易的な手法で予備解析を行う手法を考案し、今後の解析の助けとなるノウハウを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
システム班が作成した季節予測ベースの大規模アンサンブル実験を使って、メカニズム班が本格的な極端循環場の解析を開始する。また、メカニズム班が予備解析のために用意した簡易的な予測型EA実験について論文化を進める。 システム班は、R4年度に作成した温暖化なし実験の試行版のシミュレーション数を増やし、EAの解析のためのデータを整備する。また、温暖化なし実験手法について論文化を進める。
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