研究課題/領域番号 |
22H01316
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
松岡 大祐 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報科学技術センター), グループリーダー (80543230)
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研究分担者 |
筆保 弘徳 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (00435843)
杉山 大祐 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報科学技術センター), 准研究主任 (00816184)
中野 満寿男 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 副主任研究員 (40713954)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | スタイル変換 / シミュレーション / 人工衛星観測 / 熱帯低気圧 / 極端気象現象 |
研究実績の概要 |
極端気象現象の検出や予測の高度化を目的とし、シミュレーションと衛星観測データをともに活用することが可能なスタイル変換学習技術を開発した。特に、CycleGANを用いることで人工衛星観測および数値シミュレーションによって得られた雲の時空間パターンの相互変換モデルを構築し、熱帯低気圧の前駆体を示すシミュレーション画像を衛星観測データ風の特徴に変換した。衛星観測データのみから学習した深層学習ベースの熱帯低気圧検出のベースラインモデルに対して、衛星観測データ風に変換されたシミュレーションデータを用いてファインチューニングを行った。その結果、熱帯低気圧が発生する7日前、5日前、3日前の雲画像の分類精度を、それぞれ40.5%、90.3%、41.3%向上させることに成功した。さらに、衛星観測データ風に変換したシミュレーションデータは、観測データと同等の特徴を有し、特に雲頂付近の表現能力が改善されることが明らかになった。本結果によって、教師あり機械学習による極端気象現象の検出・予測において、シミュレーションデータを用いて観測データの不足を補うという提案手法の有効性を実証することに成功した。また、シミュレーションデータと衛星観測データの表現能力の違いを定量化することで、シミュレーションモデルそのものの高度化に向けても重要な知見を得たと言える。 派生研究として、一連の研究において使用したシミュレーションデータを、雲以外のデータにも拡張し、機械学習モデル構築に利用可能な形に整備し、オンライン公開を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度における研究実施計画を全て完了した他、2件の査読付き学術論文の出版とデータリポジトリにおけるデータ公開等の研究成果も得られており、研究期間内の目標達成に向けておおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初計画通りに研究を継続する。特に、雲以外の物理量として、気温や湿度等のスカラ量の他、風等のベクトル量についてもスタイル変換を行い、熱帯低気圧の強度推定における超大型事例や、発達予測における急発達事例の精度向上に向けた研究開発を実施する。
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備考 |
Matsuoka et al. (2023) Dataset of Tropical Cyclone in a High-Resolution Global Nonhydrostatic Atmospheric Simulation. Mendeley Data, doi:10.17632/xtvvkfvycr.1
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