研究課題/領域番号 |
22H01328
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
太田 雄策 東北大学, 理学研究科, 准教授 (50451513)
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研究分担者 |
梶川 宏明 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (50443180)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 水圧観測 / 機器ドリフト / 地殻変動 / 海底圧力観測 / 海底地殻変動観測 / 海底水圧計 / 長期ドリフト除去 / A-0-A |
研究実績の概要 |
プレート沈み込み帯の海溝軸近傍の大深海領域 (~7,000m) を含む海底環境下において年間1cm以下の精度で上下地殻変動を把握することを目指した機動型革新的海底圧力観測システム(A-0-A方式)を実現するための技術開発と実海域での試験を継続した。観測面での高度化では基準圧力となるガラス球内部の気圧計測をより低廉かつ低い消費電力で実現するためのMEMS型気圧センサーを用いたロガー開発を実施した。また、南海トラフDONET海底ノードごく近傍でのA-0-A方式の水圧観測システムの並行観測を継続し、2024年1月に機材の回収に成功した。同データについては、2024年度により詳細な分析を行い、A-0-A方式によるドリフト除去性能について評価を行う。また、A-0-A方式による海底水圧観測をより多点で展開するためのシステム構築作業に着手した。具体的にはガラス球内の機材の最適配置を実現するための治具の設計を行い、同システムの組立時の作業者の負荷を減らすための仕組みの検討を進めた。また、昨年度開発を行った主成分分析を活用し、水圧時系列に含まれる非潮汐海洋成分を分離、除去するためのアルゴリズムを高度化し、非定常地殻変動イベントが発生した際に、水圧計データからのみから客観的にそれらを判断できる手法の開発を実現した。同手法を活用することで、これまでは陸上GNSS観測データなどの補助情報が無ければ検知できなかった非定常イベント等を水圧観測データのみを用いて検知できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プレート沈み込み帯の海溝軸近傍の大深海領域 (~7,000m) を含む海底環境下において年間1cm以下の精度で上下地殻変動を把握することを目指した機動型革新的海底圧力観測システムを実現するための技術開発について、順調に進みつつある。実海域での試験およびデータの取得にも成功しており、その実際の性能評価を行える段階にあることや、非定常地殻変動イベントを客観的に評価する手法を構築するなど、当初予定をわずかに上回る成果が得られつつある。これらを踏まえ、(2)おおむね順調に進展している、と自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
プレート沈み込み帯の海溝軸近傍の大深海領域 (~7,000m) を含む海底環境下において年間1cm以下の精度で上下地殻変動を把握することを目指した機動型革新的海底圧力観測システムを実現するための技術開発を継続するとともに、2023年度に観測を実施し、機材を回収した南海トラフDONET海底ノードごく近傍でのA-0-A方式の水圧観測システムの並行観測データの解析を進める。また、2023年度に開発を実施した非定常地殻変動イベントが発生した際に、水圧計データからのみから客観的にそれらを判断できる手法をリアルタイムで実現するための手法開発を実施する。また、A-0-A方式の水圧観測システムをより多数展開するための機材開発および室内での印加試験を実施し、その高度化を目指す。
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