研究課題/領域番号 |
22H01336
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川方 裕則 立命館大学, 理工学部, 教授 (80346056)
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研究分担者 |
河合 研志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20432007)
平野 史朗 立命館大学, 理工学部, 助教 (60726199)
吉光 奈奈 京都大学, 工学研究科, 助教 (20724735)
土井 一生 京都大学, 防災研究所, 助教 (00572976)
和田 浩史 立命館大学, 理工学部, 教授 (50456753)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 弾性波 / 速度不均質 / 実験計測 / 数値シミュレーション |
研究実績の概要 |
不均質構造に対して敏感な「短波長の波に対する強い不均質を含む場合の弾性波動論を構築すること」を目指して研究を開始した。 実験・計測においては、低速度不均質を有する試料と高速度不均質を有する試料の作成準備に取り組んだ。低速度不均質媒質については、多孔質岩石試料を国内のフィールドより採取し、弾性波計測用に成形するとともに、マイクロフォーカスX線CTスキャナを利用して非破壊検査を実施し、試料の内部構造の把握に努めた。高速度不均質媒質については、石膏内にアルミナ球を埋設した試料作成のための試作を繰り返し、レシピを作成した。 また、岩石試料に対して、レーザードップラー速度計を利用して広帯域弾性波透過試験を実施し、弾性波伝播特性の周波数依存性を把握するための手続きを確認した。 解析においては、弾性波の震源を推定する際に、観測点の配置によって生じうるバイアスについて検討するために、アクリル円筒試料内に人工震源を埋設し、そこから放射された弾性波記録を用いて解析を実施した。 数値シミュレーションに用いる基礎パラメタの取得について、一軸圧縮試験機の導入、圧縮試験の実施手順の確立は完了し、試料作成完了後速やかに実施できる状況となった。 3次元不均質媒質に対する理論波形計算のために、2次元固体媒質のソフトウェアのC++言語への移植およびMPIを用いた並列化を行った。東京大学情報基盤センターのWisteria/BDEC-01において計算可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
弾性波計測を実施するための試料準備が進められたが、実際の計測については、当該の試料ではない岩石試料に対してのみ実施された。試料準備、計測ともに次年度以降の進展が十分に見込まれるところまでの準備は進んでいる。また試料の基礎パラメタ取得のための試験機の準備も順調に進んでいる。 解析については、非弾性減衰や散乱減衰などによる立ち上がり形状の鈍化による影響を検討したが、波形の全体像の把握、再現性の確認などについては未実施である。 数値シミュレーションについては、3次元化の準備のための並列化などが実施された。 目的達成に向けて十分な進捗が見られるため、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き不均質媒質の作成に取り組み、成形済みの試料を用いてレーザードップラー速度計を利用した面的な弾性波計測を実施する。計測によって得られた波形に対して、帯域ごとにアレイ解析、エンベロープ解析などを実施し、特徴的な相の抽出や各相の伝播方向および伝播速度の推定を実施する。 また、実験用媒質を用いて一軸圧縮試験を実施し、静的なヤング率やポアッソン比などの弾性特性を取得する。X線CTスキャンによる実験用媒質の微細な内部構造の確認も引き続き実施する。 波長の違いが一桁程度にまで大きくなることもあるため、計算精度を保持するためには媒質をまたいで一桁違うグリッド幅が必要になる場合もあり、このようなケースにも適用できるようにプログラムの開発を実施する。
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