研究課題/領域番号 |
22H01338
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
尾鼻 浩一郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(地震発生帯研究センター), センター長代理 (10359200)
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研究分担者 |
杉岡 裕子 神戸大学, 海洋底探査センター, 教授 (00359184)
塩原 肇 東京大学, 地震研究所, 教授 (60211950)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | スロー地震 / カスカディア沈み込み帯 / 海溝型巨大地震 |
研究実績の概要 |
カナダ・カスカディア沈み込み帯北部で、プレート境界浅部における固着状況を検証するとともに、歪み蓄積と解放の実態を明らかにすることを目的に、「速いスロー地震」に着目した海底圧力計(OBP)によるアレイ観測を開始した。 観測に向けては、OBP6台を国内で準備したのちに、出港地であるカナダに輸送した。カナダでは、Geological Survey of Canada (GSC)の協力のもと、最終的な調整を行い、ドイツの調査船R/V Sonneに搭載した。OBP6台は、ドイツGEOMARの研究者が首席研究者を務めた調査航海“CLOCKS”(航海番号SO294) (2022年9月13日から10月27日)で、カナダ・バンクーバー島沖に設置した。OBP6台は、全体として一辺20kmの正三角形のアレイとなるように、10km間隔で設置した。また、GEOMARの広帯域海底地震計(BBOBS) 6台とJAMSTECの短周期海底地震計(OBS)9台もOBPアレイと同じ海域に設置し、観測を開始した。なお、設置された装置の海底での着底位置は、設置後に船上からの音響測距により確認している。航海中には、海底地形調査に加え、エアガンを用いた構造探査、海底電位差磁力計(OBEM)を用いた電磁気探査なども行われた。航海終了後、観測に使用した機材は、入港地のアメリカから、日本に向けて返送した。 今回設置したOBS、BBOBSの回収を2023年に、またOBPについては2024年の回収を予定している。回収作業はカナダの調査船を用いて行う計画であり、航海実施に向けた調整をカナダ側関係者と進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響により出入国や調査船乗船に関して様々な制約があった。また、港湾の混雑や船舶運航スケジュールの遅延などにより、海外への機材輸送や日本への返送では、大幅な遅延が生じた。しかしながら、カナダ、ドイツをはじめとする研究協力者の尽力により、予定通りの航海で機材を設置し、観測を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、2022年からの研究期間5年を、前半(3年目まで)のデータ取得の期間と、後半(4年目以降)の解析の期間に大別して研究を進めている。初年度の2022年は、計画通りカナダ・バンクーバー島沖のカスカディア地震発生帯北部に海底圧力計(OBP)6台を設置し、アレイ観測を開始した。また、海底地震計(OBS)や広帯域海底地震計(BBOBS)も設置し、OBPと並行した観測を実施している。 2023年は、カナダ沿岸警備隊の調査船John P. Tullyに乗船し、OBSとBBOBSの回収を行う。回収後は、Ocean Networks Canada (ONC, University of Victoria)などにより運用されているNEPTUNE海底ケーブルや、カナダの陸上地震観測網のデータも含めてデータ整理をした上で、まずは通常の地震活動の把握を進める。また、2024年のOBP回収航海の実施に向けて、カナダ側の関係者と調整を行う。
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