力学的刺激が生み出す物性変化は、センサ、メモリ、振動発電など多様な用途に応用でき、マテリアル革新力強化の重要課題の一つでSociety5.0を支えるナノテクノロジーとなり得る。本研究では、電子の強相関性から巨大な機械-電気応答性を潜在的に持つ金属酸化物のナノ材料を対象とし、ナノ構造試料へのひずみ印加オペランド構造・物性評価実験を通じて、応力⇔変形構造⇔変調物性の相互関係の解明、ゲージ率1000以上という機能創出を目的とし、2023年度は、・昨年度開発した4点曲げ負荷試験システムの改良、・改良した負荷試験システムで、歪勾配印加下でのオペランド構造および電気測定の実施、を行った。改良により温度制御性、ひずみ勾配の制御性を向上させた計測を可能とした。 歪印加装置を用いて、典型的な相転移材料であるVO2のマイクロ構造試料に対し歪み負荷での伝導特性評価、結晶構造評価を行った。100μmサイズのマイクロ構造試料で最大2 Kの転移温度の変調に成功した。一方で、結晶構造評価の結果から評価した構造変形度の3次元方向の分布では、既報にあるひずみに対する応答性が1桁以大きくなったと判断された。この結果は、ひずみ勾配によって発生したフレクソエレクトリック効果から力学-分極-電子自由度が生み出されたことを示唆している。
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