研究課題/領域番号 |
22H01366
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
筧 幸次 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (70185726)
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研究分担者 |
角田 直人 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (70345437)
村上 秀之 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 上席研究員 (30212252)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Ni基超合金 / 酸素混入 / クリープ / イットリウム |
研究実績の概要 |
(1)ニッケル基超合金 IN718 の組織,高温機械的特性に対するイットリウム (Y) 添加の影響について調べた. この研究では,Y の範囲 (0 wt.% -0.58 wt.%) を含む合金が,選択的レーザー溶融法を使用して製造された. その後,溶体化および時効熱処理を行った. 機械的特性は,650°C での高温引張試験と クリープ試験によって評価した. 結果は,0.07wt.%までのYの添加は,引張およびクリープ延性の両方を高めた. 最大の延性は,0.07wt.%で観察された. Y添加量さらなる増加は,引張試験およびクリープ試験の両方で延性の低下をもたらしたが,引張強度は0.07wt%で最小であり,Y 添加のさらなる増加に伴って増加した. Y の微量添加による延性の改善は,Y の粒界偏析に起因する可能性があり,これがδ相析出物の形態変化と,粒界での Y2O3 の形成による混入酸素の安定化につながった. ただし,Y 含有量が高くなる(>0.07 wt.%)と,延性への有益な効果は,粒界および樹状間領域での Y に富む Ni5Y および NbC 相の析出により低下した. 一方,Y を多く添加した試験片は,Y の固溶と Ni5Yおよび NbC 相の析出によって機械的に強化された. (2)積層造形技術で作製されたハイエントロピー金型合金合金へ,微量のYを添加して固溶酸素を酸化物として固定化を試みた.Yを添加した材料を用いて,積層造形およびY添加がHEAへの機械的特性並びに組織に及ぼす影響について調べた. Y添加により,添加元素であるAlやTiの酸化がより安定なY2O3の生成により抑制され,粒界におけるDP(Discontinuous Precipitation)L12相の析出が抑制され,引張延性およびクリープ寿命・延性が改善された.酸素混入が不可避な積層造形において,混入酸素を固定化するY添加は効果的手法であることを明らかにした
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)TiAl4822合金,固溶強化合金Hastelloy Xおよび析出型強化型合金IN718において,Yの効果を明確にすることができた. (2)600℃予熱により,Nb偏析が軽減され,クリープ特性が向上することを明らかにできた.
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今後の研究の推進方策 |
(1) Y添加が,粒界強化に及ぼす影響メカニズムが,不明であるので,粒界性状について重点的に調べる. (2)酸素の混入多い多い,デポジション方式(DED:Direct Energy Deposition)でIN718およびTiAl4822合金試料を作製して,酸素混入の影響を調べる (3)予熱の効果について,有限要素法を用いて温度勾配,冷却速度の観点から明らかにする.
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