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2022 年度 実績報告書

レーザ誘起熱勾配を活用したガラス中でのソレー効果の解明とガラスの組成制御への応用

研究課題

研究課題/領域番号 22H01371
配分区分補助金
研究機関千葉大学

研究代表者

比田井 洋史  千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (60313334)

研究分担者 松坂 壮太  千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (30334171)
伊東 翔  千葉大学, 大学院工学研究院, 特任研究員 (70743441)
岸 哲生  東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (90453828)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードレーザ / ガラス / ソレー効果 / 温度勾配
研究実績の概要

ソレー効果もしくは熱拡散ともよばれる温度勾配により物質が移動する現象がある.一般的な濃度拡散(フィックの法則による拡散)は等方的でその方向は制御できないが,ソレー効果では温度勾配により拡散方向を制御できる.本申請では,申請者らの行ってきたガラス内部での金属球のマニピュレーションと軌跡への金属ドープを活用しガラスのソレー効果を解明する.金属球のマニピュレーションにより,ガラスの内部に金属原子をドープした領域を簡単に形成できる.そこで,レーザ加熱することで温度勾配を形成,ドープした金属原子の移動を追跡することで,ソレー効果を評価する.
本年度は,まず,ガラス中に金属球を導入・移動させることでガラス中に金属微粒子をドープした. このとき,微粒子は金属球周囲に分布している.次に金属球が移動しない条件で金属球をレーザ加熱し,ドープ領域に温度勾配を与えた.加熱時の微粒子の挙動を CCDカメラでその場観察を行った.
Feを加熱した場合は,微粒子が高温である金属球に向かって移動していた.PIVによる測定で微粒子は最大0.56 μm/sの速度で移動していた.一方,Niの場合の微粒子の移動はFeとは異なり,金属球から遠ざかる,すなわち低温側へ移動していた.本実験において,微粒子は金属球界面に垂直な向きに移動している.これは,ソレー効果の影響が考えられる.しかし,本実験では対流や表面張力など様々な現象が同時に起きており,それぞれを切り離して考えるのは実現できていない.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画していた,移動状態の確認については,おおむね計画通りに遂行できた.具体的には,ガラス内部に金属原子をドープした領域を直線状に形成し,レーザにより加熱し,その移動を観察する.この加熱には,ガラスに吸収されるレーザを用いた表面加熱と,ガラスに溶解しない金属球をドープした領域近傍に設置し,レーザにより加熱方法を試みた.表面加熱では想定したほどには移動が起こらない問題が生じた為,後者による方法に重点的に取りくんだ.
金属をドープした領域に直接レーザを照射することでの加熱についても取り組んだ.が金属をドープした領域は光を吸収する.そのため,ドープした領域にレーザを照射し,直接加熱することでも移動できることを確認した.
当初予定の③金属の価数の影響については,装置のトラブルなどにより着手できなかった.これらのことからやや遅れていると評価している.来年度以後,十分挽回可能であると考えている.

今後の研究の推進方策

本年度着手できていない項目を含め,以下のように研究を遂行し,遅れを挽回する.
移動状態の確認:昨年度のデータに加えて,断面の元素分析を行い,その移動を詳らかにする.金属の価数の影響について評価する.対流の影響:本実験では数100μm 程度の微小な領域のガラスを加熱軟化して,ソレー効果を起こす.このため,対流の影響についてはほとんどないと考えられるが,実験や数値解析により対流の影響について評価する.
さらに,メカニズムの解明に着手する.上記で得られるガラス内の金属原子の移動は,ソレー効果と濃度拡散の混ざったものになる.ソレー効果は金属原子の濃度,温度,温度勾配に依存する.濃度拡散はフィックの法則により,温度と濃度とに依存する.そこで,数値解析により温度状態を算出し,これまでの結果と比較しソレー効果について明らかにする.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Soret effect in metal-particle doped glass by focused laser heating2023

    • 著者名/発表者名
      Kaito Miyakoda, Sho Itoh, Hirofumi Hidai, and Souta Matsusaka
    • 学会等名
      Proc. SPIE
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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