研究課題/領域番号 |
22H01383
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
栗原 一真 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究主幹 (90392612)
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研究分担者 |
中野 美紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20415722)
穂苅 遼平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20759998)
鈴木 健太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (60709509)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己柱状成膜 / 光学デバイス / 射出成型 / 成膜 |
研究実績の概要 |
ナノインプリントなどの微細成形技術で形成したナノ構造体と、平均自由行程を制御した真空成膜技術を融合することで、ナノ構造体の凹部のみに特異的な3次元立体構造体が自己組織化形成できる事を発見した。本研究では、その特異的な自己組織化形成技術を用いて、真空形成技術による新たなボトムアップナノ構造体の形成技術の統計的な確立を行い、任意方向にパターン形状を持って整列制御された立体ナノ構造体の自己組織化成膜技術を実現する研究を行う。 本年度は、[1]平均直径300nm程度の凸円形形状を持つナノ構造体の金型を用いて、射出成型で転写成形しポリカーボネイト(PC)樹脂表面に凹円形状のナノ構造体を形成した基盤、[2]シリコンウエハ表面に平均直径300nm程度の凸円形形状を持つナノ構造体を形成した基盤、[3] PC基盤表面に転写成形し150nm程度のライン形状を持つナノ構造体基盤の3通りを用いて検討を行った。また、自己組織化成膜技術のナノ構造体の形成過程については、基盤-サンプル間距離:70mmに固定し、プロセス真空度を0.5Paから6Paに変更させ成膜を行って自己柱造ナノ構造体の形成過程について調査を行った。成膜材料はSiO2の成膜を行った。 [1]のナノ構造体付PC基盤の場合には、プロセス真空度が4Pa〜6Paの範囲で成膜を行った場合に、自己柱造ナノ構造体が形成できる事が確認出来た。また、自己柱造ナノ構造体が形成できる膜厚の検討も行った結果、最小膜厚7nmでも柱造構造体の形成が確認でき、膜厚の増加に伴って柱造構造体の存在確率が増加した。 一方、[2],[3]の場合には、ナノ構造体内部に自己柱造構造体の形成が確認できない課題も判明した。この違いが発生する物理については、ナノ構造体の大きさや深さ、構造体の形状、基盤材料の影響起因によるのかの詳細検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、自己柱造ナノ構造体の形成過程に必要なプロセスウィンドウの詳細検討に加え、パターン形状や基盤材料による自己柱造構造体の形成過程の検討を行った。一部、パターン形状によって、自己柱造構造体の形成が出来ない等の課題が発生しているが、これは、自己柱造構造体の形成過程をより詳細に考察する糸口に繋げる事が可能にでき、この自己柱造構造体である「ナノ凹凸形状表面での薄膜成長過程」は、まだまだ未知の領域であり、これらを整理して詳細に調査を行うことで、ナノ構造体の新たな成膜形成領域として知見を深める事に繋げる事ができ、より詳細な制御に繋げる事ができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、EB描画したナノパターンから作成した金型を用いて、今年度と同様にポリカーボネイト基盤に転写成形したナノ構造体基盤のプロセス技術の確立を行う。これらプロセス技術を確立し、正円形状から楕円形状にアスペクト比を変化させたナノ構造体の形成を行って、ナノ構造体のパターン形状によって自己柱造構造体の形成がどのように変化するのかの調査を行う。一方、今年度の調査では、ライン&スペースパターンになると自己鋳造構造体の形成が確認できない事が判明したので、どのようなパターンになると、自己鋳造構造体の形成が行われなくなってしまうのかの調査を行う。これら調査から、ナノ構造体の新たな成膜形成領域として知見を深める事に繋げる事ができ、より詳細な制御に繋げるて行きたいと考えている。
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