研究課題/領域番号 |
22H01415
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡邊 裕章 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (60371598)
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研究分担者 |
北川 敏明 九州大学, 工学研究院, 教授 (40214788)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 噴霧燃焼 / 一様等方性乱流 / 着火・燃え広がり / 実験 / 数値解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,乱流場における液滴群の着火・燃え広がりと群燃焼の発現メカニズムを明らかにすることを目的に,定容圧力容器実験装置を用いた一様等方性乱流中を分散滞留する噴霧液滴クラスターの着火・燃え広がり実験,ならびに同実験を対象とする噴霧燃焼の直接数値計算(Direct numerical simulation, DNS)を実施する. 本年度は,昨年度に設計・製作を実施したコモンレール・インジェクタ方式の噴霧装置を導入した定容圧力容器実験装置を用い,噴霧液滴の着火・燃え広がり実験を実施した.燃料を正デカンおよびイソオクタンとした.計測はシュリーレン法による光学計測と圧力計測を併用し,層流条件,および一様等方性乱流条件における伝播火炎の燃焼速度に対する乱れ強さおよび当量比(噴射量,または数密度)の影響を明らかにした.加えて,ガス燃料の予混合火炎の着火・燃え広がり挙動について計測を実施し,噴霧火炎との火炎伝播挙動を比較した. 一様等方性乱流中に分散する噴霧液滴中を伝播する火炎の直接数値計算を実施した.着火・燃え広がりに重要な役割を果たすと考えられる正デカンの低温酸化反応を考慮可能な40化学種277素反応からなる素反応メカニズムを採用した.計算領域を一辺20 mmの立方体とし,格子幅50ミクロン,要素数6,400万とした.一様等方性の初期乱流場は乱流の積分長さスケールと乱れ強さを入力とするエネルギースペクトルモデル式により生成した.層流条件,および一様等方性乱流条件における伝播火炎の着火・燃え広がり挙動や燃焼速度について,乱れ強さや当量比(噴射量,または数密度)の影響を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,乱流場における液滴群の着火・燃え広がりと群燃焼の発現メカニズムを明らかにすることを目的に,定容圧力容器実験装置を用いた一様等方性乱流中を分散対流する噴霧液滴クラスターの着火・燃え広がり実験,ならびに同実験を対象とする噴霧燃焼の直接数値計算(Direct numerical simulation, DNS)を実施する. 実験研究においては,当初の計画通りに,一様等方性乱流中の噴霧液滴の着火・燃え広がり実験に成功している.燃料を正デカンおよびイソオクタンとし,層流条件および乱流条件において,伝播火炎の燃焼速度に対する乱れ強さおよび当量比(噴射量,または数密度)の影響を明らかにしている.加えて,ガス燃料の予混合火炎の着火・燃え広がり挙動について計測を実施し,噴霧火炎との火炎伝播挙動を比較した. 数値解析研究においては,着火・燃え広がりに重要な役割を果たすと考えられる正デカンの低温酸化反応を考慮可能な40化学種277素反応からなる素反応メカニズムによる直接数値計算に成功している.層流条件,および一様等方性乱流条件における伝播火炎の着火・燃え広がり挙動や燃焼速度について,乱れ強さや当量比(噴射量,または数密度)の影響を明らかにした.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,乱流場における液滴群の着火・燃え広がりと群燃焼の発現メカニズムを明らかにすることを目的に,定容圧力容器実験装置を用いた一様等方性乱流中を分散対流する噴霧液滴クラスターの着火・燃え広がり実験,ならびに同実験を対象とする噴霧燃焼の直接数値計算(Direct numerical simulation, DNS)を実施する. 実験研究においては,一様等方性乱流中を噴霧液滴の様子を直接計測することにより,乱流中の噴霧液滴の分散挙動を検討し,着火・燃え広がり挙動との相互作用を明らかにする. 数値解析研究においては,昨年度実施した一様等方性乱流の乱れ強さに加え,積分長さスケールをパラメータとする計算を実施し,噴霧液滴の着火・燃え広がり挙動に及ぼすこれらパラメータの影響を局所的な火炎形状・形態との相互作用の観点から明らかにする.
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