研究課題/領域番号 |
22H01432
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森 博輝 九州大学, 工学研究院, 准教授 (50451737)
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研究分担者 |
宗和 伸行 九州大学, 工学研究院, 助教 (40304753) [辞退]
末田 美和 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (40981577)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己同期現象 / 非線形振動 / 自励振動 / エネルギー / 安定性 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,散逸エネルギー条件と自己同期エネルギー条件を記述する2本のエネルギー的な条件式に立脚した解析により,2個の不釣り合いロータ(回転型振動子)に生じる自己同期現象の原理を解明するとともに,この現象を用いた振動機械の合理的な設計手法を構築することである.令和5年度の研究においては,不釣り合いロータを搭載する剛体が直交する2方向に並進自由度を有する4自由度系および剛体が直交方向の並進自由度に加えて回転自由度も有する5自由度系に対して,以下の検討を行った. 4自由度系については,上述の2本のエネルギー条件式の導出を行った上でそれを用いた解析を実施し,「回転型振動子の相対的な回転方向」と「剛体の直交2方向の並進自由度に関する振動特性の異方性」が自己同期現象の特性に与える影響について検討を行った.これらはいずれも自己同期現象を振動機械に応用する際に重要となるパラメータであり,令和4年度までに取り扱った3自由度系では検討が不可能だったものである.検討の結果,これらは自己同期現象が発生するパラメータの範囲と発生時の振動特性に非常に大きな影響を及ぼすことが明らかとなった.また,高精度な数値解との比較を通して,上記の影響は本研究で導出した2本のエネルギー条件式によって見通しよく把握できることがわかった.さらに,検証実験を実施したところ計算結果は実験結果とよく一致しており,本研究で扱っている解析モデルが十分な精度を有していることが検証できた. 5自由度系については,実際の振動機械に近い構造の装置を作製して,発生する自己同期現象の特性を網羅的に調べる予備実験を実施した.これは令和4年度までに扱った5自由度系よりも若干複雑な(しかしながらより一般的な)系である.現在はこの5自由度系に対して解析の準備を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4自由度系の実験と解析はほぼ終了している.5自由度系についても実際の振動機械に近い構造を有する装置の作製は終了しており,それを用いた予備実験も実施することができた.既に5自由度系の解析にも着手しており,現在までに解析の進捗に影響するような問題は現れていないことから,本研究は順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
現在検討を進めている5自由度系では,これまでに扱った3自由度系および4自由度系とは異なり,剛体の回転自由度が自己同期現象に対して重要な影響を与える.この回転自由度の影響を解明し,振動機械に対する自己同期現象の応用に活用できる指針を構築するために,以下のような検討を行う. 解析面では,本研究で整備を進めている2本のエネルギー条件式の導出を行うとともに,それを活用した解析を実施する.この解析で得られる結果に基づいて,5自由度系で発生する自己同期現象が示す特性を効率的かつ正確に把握する解析手法の明確化を試みる.その際,エネルギー条件式の導出における回転自由度の取り扱いが課題となるが,これについては各種の近似を導入することで解決を図る.実験面では,これまでに作製した実験装置を用いて解析モデルおよび解析手法の妥当性に関する検証実験を実施する.これらが順調に完了すれば,従来の網羅的な数値計算に基づくパラメータスタディに頼らずとも広範囲の振動機械で発生する自己同期現象の特性を予測することが可能となり,得られる知見は振動機械の設計指針の構築に役立つ可能性が高い. さらに,上記の5自由度系に関する実験と解析に目処が立った段階で,上記とは異なる構造の系に対しても解析手法を拡張することを目指す.
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