研究課題/領域番号 |
22H01434
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
戸井 武司 中央大学, 理工学部, 教授 (90286956)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ドローン / 衝突回避 / 音源探査 / 音像定位 / 低消費電力 |
研究実績の概要 |
1)基本的な飛行状態を想定した環境騒音および機器振動等の負荷変動の検討については,センシングに要する基本特性等を文献等調査によって整理するとともに,センシングユニットの総合的なエネルギーマネジメントの実用性を検討するために,国内産業構造の調査分析を実施した.実運用のための検討より,ドローンとヘリコプターが相対速度200km/hにて接近するときに,ドローン本体に設置したマイクロホンアレイにより2km以上先のヘリコプター探知を最終年度の課題と設定した. 2)ドローンの飛行状態を想定した機体稼働中の機体振動と騒音の相関解析については,研究室が具備する大型無響室や長野滑空場の実フィールドを利用し,自機騒音の実計測と解析を実施した.ヘリコプターの発生騒音や稼働条件等のヒアリングを行い,騒音サンプルを取得し音源モデルを整備した.また,衝突回避が課題となる機体センサ製造者にヒアリングし,ドローンに求められる探知性能の評価項目,満足すべき性能,これを評価する試験方法等に基づく総合的に取り纏める手法を検討した. 3)機体搭載可能なセンシングユニットの検討については,事業者等へのヒアリング結果をもとに,音源モデル,センシングアルゴリズム等の改善を行った.ドローンを想定した自機音と,ヘリコプターを想定した脅威機音が混在している音情報に対して,ドローン本体の振動情報を利用して自機音を推定し,周波数領域の減算処理により抑制することで,脅威機探知に必要となる脅威機音の推定手法を開発し,実用性や効果測定の評価を行った.また,策定された推定手法について,ドローンの機体センサ製造者等を対象に実用性について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の研究実施計画にある下記の3項目が,それぞれおおむね順調に進展している. 1)基本的な飛行状態を想定した環境騒音および機器振動等の負荷変動の検討 2)ドローンの飛行状態を想定した機体稼働中の機体振動と騒音の相関解析 3)機体搭載可能なセンシングユニットの検討
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今後の研究の推進方策 |
1)ドローンによる飛行中のヘリコプター騒音に関する音源探知特性の確立については,初年度収集したヘリコプターの飛行騒音サンプルデータの解析に基づく数理モデリングの開発に着手する.風速や暗騒音が存在するフィールドにおいて,ヘリコプター騒音に含まれるブレード回転に依存した回転次数成分を抽出し,ヘリコプターの飛行状態を推定することで,衝突回避に資する情報を把握する.また,ドローンの自機騒音がある状態においても同様に実施し,ヘリコプターの飛行状態の推定を検討する. 2)ドローンのマルチルータ自機騒音フィルタリング技術の開発については,研究室が具備する大型無響室やフィールドを利用し,ドローンの飛行状態を想定した機体稼働中の機体振動と騒音の相関解析より自機騒音の実計測と解析を実施する.今年度に実施した研究室やフィールドの実計測データを用いて,風速や暗騒音などの存在しない状態,およびそれらが存在する状態の比較検討より,風速や暗騒音などの影響を考慮した自機騒音の推定手法を確立する. 3)探知性能の基礎評価手法の開発については,最終年度の評価手法の策定に向け,関連事業者を含む有識者によって構成される検討委員会設置(名称は未定)する.具体的には,衝突回避が喫緊の課題となる産業用ヘリコプターの運航事業者およびドローンの運航事業者・機体開発・関連するセンサ製造者等が参画する検討委員会を設置し,年4回程度の会合を開催することで実用化に向けドローンに求められる探知性能に関する評価項目,満足すべき数値性能,これを評価する試験方法等を総合的に取り纏める手法開発に着手する.
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