研究課題/領域番号 |
22H01436
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 孝之 北海道大学, 情報科学研究院, 教授 (10282914)
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研究分担者 |
村井 昭彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (90637274)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 人間拡張 / 人間機械システム / ウェアラブルデバイス / デジタルヒューマン |
研究実績の概要 |
人間機械システムにおいて,機械からの外力とヒトの内力の伝達過程(力学的連鎖)と運動への活用過程を明確化し,新たな運動戦略の獲得メカニズムを解明することを目的として,次の4つの課題に取り組み,それぞれ良好な成果を得た. (1) 体・知覚機能を強化するウェアラブル運動拡張デバイスの開発:走行運動で脚に受動要素を付加する簡易的な走行運動拡張技術を用いることで,機械的介入による力学的連鎖の変容の可視化と運動戦略獲得の解明とウェアラブル運動拡張デバイス開発のための基礎的データを得る.弾性材を補助力源とした柔軟で軽量な体幹アシストスーツによる走行運動の介入実験を行い,その作用力と運動変容との関係を調べた.また,アシストスーツに搭載する圧覚刺激型センサデバイスを開発し,体幹運動の身体・知覚機能を強化するウェアラブル運動拡張デバイスの開発の準備を行った. (2) デジタルヒューマンを基盤とした力学的連鎖の実時間可視化:運動戦略がパフォーマンス向上に適切であったか,運動時にその場で客観的に確認することで,運動戦略の習得スピードを向上させることが期待できる.ヒトが運動戦略を変える中で関節剛性を適切に制御する仕組みを表現可能な筋骨格モデルを開発した. (3) 運動戦略の数理モデル化の準備:人間拡張技術より加わった作用力と実際の運動の結果を比較し,ヒトのインピーダンス制御パラメータを同定した.運動パフォーマンスを向上する過程で運動戦略の獲得に与える影響を現象論的に明らかにする準備を行った. (4) 評価実験環境の整備:多リンク系の運動連鎖を効率的に解析するために部分ラグラジアン法を開発し,高速かつ高効率な運動解析を可能とした.走行運動や投球動作の運動パフォーマンス評価のための実験環境を整備した. 以上の成果を学術論文1件,国際会議2件,国内講演会3件で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度に予定した3つの課題,(1)身体・知覚機能を強化するウェアラブル運動拡張デバイスの開発,(2)デジタルヒューマンを基盤とした力学的連鎖の実時間可視化,(3)運動戦略の数理モデル化の準備において,それぞれ上記のとおり良好な成果を得ている.さらに,(4)評価実験環境の整備ができ,今後の研究を円滑に進める準備ができたこと,および研究成果を学術論文1件,国際会議2件,国内講演会3件で発表したことから,当初の計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえて,次の2つの課題に重点的に取り組む予定である. (1) 運動戦略の数理モデル化:運動戦略,つまり力の使い方を調整するために,ヒトは体幹剛性を制御しているものと仮定して,運動戦略を体幹インピーダンス制御モデルとして数理モデル化する.推定オブザーバを立て,スマートスーツなど人間拡張技術より加わった作用力と実際の運動の結果を比較し,ヒトのインピーダンス制御パラメータを同定する.力学的連鎖がインピーダンス制御パラメータの変化に及ぼす影響を調べ,運動パフォーマンスを向上する過程で運動戦略の獲得に与える影響を現象論的に明らかにする. (2) デジタルヒューマンを基盤とした力学的連鎖の実時間可視化:運動戦略がパフォーマンス向上に適切であったか,運動時にその場で客観的に確認することで,運動戦略の習得スピードを向上させることが期待できる.3次元動作計測装置,筋活動計測装置と筋骨格動力学モデルを基盤として,環境からの外力,運動拡張デバイスからの作用力,ヒトの筋発揮力の体内伝達,力学的連鎖を実時間で可視化するツールとして拡張する.力場やエネルギーフロー,関節剛性など,ヒトが運動戦略の獲得過程を理解しやすい提示情報と提示方法の検討を行う.
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