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2023 年度 実績報告書

トルクセンサレス・シーリングレス水陸両用柔軟アクチュエータの基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 22H01456
配分区分補助金
研究機関立命館大学

研究代表者

加古川 篤  立命館大学, 理工学部, 准教授 (50755486)

研究分担者 坂上 憲光  龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (20373102)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード水中ロボット / 力/トルクセンサレス / 水没型モータ / 防水シールレス / 潤滑油レス / 接触作業
研究実績の概要

2023年度では,引き続き水没型ギアード電動サーボモータ(高分子材料エスベアを用いた無潤滑で高摺動性を持つ3-K型遊星歯車減速機に防錆処理を施したブラシレスDCモータと非接触磁気エンコーダを組み合わせた防水シールレスかつ潤滑油レスのアクチュエータ)を用いて以下の研究を行った.
(1)水没型ギアード電動サーボモータ単体の性能評価:減速機の効率は1000rpmの定速回転時に約60~70%であることが判明し,特に出力軸換算で5Nmに達すると70%を超える結果となった.モータのトルク計測実験に関しては定格トルクの40%以上で使用すると1000rpmの定速回転時の司令トルクと実測トルクがほとんど一致することがわかった.また,静止状態の検証実験でもややばらつきが大きかったものの同様の結果が得られた.以上から力/トルクセンサを用いずに電流制御のみで本研究の水没型ギアード電動サーボモータのトルクを制御する場合,モータ定格トルクの約40%以上で利用することが望ましいことが明らかとなった.
(2)防水シールレス・潤滑油レス水中ヘビ型ロボットの開発:本研究で開発した水没型ギアード電動サーボモータを4個連結した平面ヘビ型ロボットを試作し,関節に防水シールや潤滑油を用いない新しいヘビ型ロボットを提案した.上記(1)と本成果をまとめ,2023年12月にタイのサムイ島で開発された国際会議ROBIO2023で発表した.
(3)短腕型吸着式水中作業ロボットアームの開発:水中環境でセンサレス力制御が可能となれば,様々な水中ロボットへの利用可能性が広がる.これを探るため,本研究ではスラスタで移動と吸着の両方を行い,その先に付いたマニピュレータによって水中環境で接触作業を行うためのロボットを製作した.本成果は2024年5月に宇都宮市で開催される日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2024にて報告予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

水中柔軟アクチュエータを実現するために水没型ギアードモータ単体のトルク制御特性を実験的に明らかにしたほか,水中ヘビ型ロボットや遊泳可能なロボットアームなども製作したため.センサレスで水中トルク制御が可能になれば,インピーダンス制御などへの応用可能性が広がり,水中において柔軟な作業の実現が期待できる.

今後の研究の推進方策

これまで開発した水中ヘビ型ロボットや遊泳可能なロボットアームは基本的な動作を達成しただけであり,接触作業を実現していない.今後はヘビ型ロボットが水中の円柱状物体に巻き付いたときのセンサレス把持力制御を目指す.このために運動学を利用して目標把持力に対する各関節の必要トルクを計算する.さらに遊泳可能なロボットアームが流体環境下で壁などに吸着しながら接触作業を行うためのスラスタの回転数をアームの関節トルクの値に応じて適切に制御する方法や水中で位置誤差を許容しなければならないような作業(例えば,ドア開け,組み立てなど)を行うための力制御などの検証を実験的に行う.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] 月面の3次元地質地盤図を作成するための測量・地盤調査法2024

    • 著者名/発表者名
      小林泰三,伊藤真一,加古川篤,中川雅史,辻健,池永太一,谷口龍,滝川正則,北村啓太朗,佐野寿聰,松村聡,近藤明彦,米岡威,尾高潤一郎,島田徹也,尾崎伸吾
    • 雑誌名

      建設機械 特集:宇宙無人建設革新技術開発の動向①

      巻: 60 ページ: -

  • [雑誌論文] Effect of Underactuated Parallelogram Shape-shifting for Environmentally-adapted Movement of a Three Modular In-pipe Robot2023

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Kakogawa, Shugen Ma
    • 雑誌名

      Frontiers in Robotics and AI | Field Robotics

      巻: 10 ページ: -

    • DOI

      10.3389/frobt.2023.1234835

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Development of a Practical Articulated Wheeled In-pipe Robot for Both 3-4 in Force Main Inspection of Sewer Pipes2024

    • 著者名/発表者名
      Kenya Murata, Atsushi Kakogawa
    • 学会等名
      29th International Symposium on Artificial Life and Robotics (AROB 29th 2024)
    • 国際学会
  • [学会発表] An Underwater Snake Robot that Does Not Consider Actuators' Waterproof: Design and Primary Experiments2023

    • 著者名/発表者名
      Shah Darshankumar Rajendrakumar, Atsushi Kakogawa, Shugen Ma
    • 学会等名
      IEEE International Conference on Robotics and Biomimetics (ROBIO 2023)
    • 国際学会
  • [学会発表] 月面における測量・地盤調査ロボットの開発2023

    • 著者名/発表者名
      小林泰三・加古川篤・伊藤真一,中川雅史,滝川正則・北村啓太朗・佐野寿聰,辻健,米岡威・尾高潤一郎・島田徹也,松村聡・近藤明彦,池永太一・谷口龍,尾崎伸吾
    • 学会等名
      第67回宇宙科学技術連合講演会
  • [学会発表] ペンギン模倣遊泳ロボットに用いる水没型ギヤードサーボモータの研究2023

    • 著者名/発表者名
      下岡大樹,加古川篤,田中博人
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2023
  • [学会発表] 押付力による弾性体の摩擦係数変化を考慮したオムニホイールの受動ローラの材料検討2023

    • 著者名/発表者名
      村田憲哉,久壽米木麻琴,加古川篤,馬書根
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2023
  • [学会発表] 下水道圧送管内点検のための連結車輪型管内移動ロボットの開発2023

    • 著者名/発表者名
      村田憲哉,廣瀬千大,加古川篤,馬書根
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2023
  • [学会発表] 緊急脱出のためのワイヤ駆動式伸縮機構を有する3インチ管内検査ロボット「Xbot 1」の開発2023

    • 著者名/発表者名
      加古川篤,山本知生
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2023
  • [学会発表] 正逆の差動遊星歯車減速機を用いた1 自由度水没型グリッパ2023

    • 著者名/発表者名
      加古川篤,奥島規志,坂上憲光
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2023
  • [学会発表] 内径に応じて回転波動駆動と螺旋駆動が切り替わる管内推進機構の考察2023

    • 著者名/発表者名
      大國嵩人,山本知生,加古川篤,馬書根
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2023
  • [学会発表] 面外曲げ走行可能なV字型配管内検査ロボットの開発2023

    • 著者名/発表者名
      関谷奏,廣瀬千大,村田憲哉,小林勇輝,加古川篤,馬書根
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会 2023
  • [学会発表] 将来の月利用・拠点建設に向けた地質・地盤調査2023

    • 著者名/発表者名
      小林泰三・加古川篤,中川雅史,滝川正則・北村啓太朗,辻健,米岡威・尾高潤一郎・島田徹也,松村聡・近藤明彦,池永太一・谷口龍
    • 学会等名
      日本航空宇宙学会 第54期定時社員総会および年会講演会
  • [産業財産権] 管内走行装置、管内走行装置の制御方法、及び管内走行装置の制御プログラム2023

    • 発明者名
      生野康之、加古川篤ほか8名
    • 権利者名
      生野康之、加古川篤ほか8名
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-104508
  • [産業財産権] 液体貯蔵容器の内側底部を保護する方法、及び、液体貯蔵容器の内側底部を保護する構造2023

    • 発明者名
      広瀬茂男,加古川篤
    • 権利者名
      広瀬茂男,加古川篤
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2023-175879

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公開日: 2024-12-25  

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