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2022 年度 実績報告書

多孔質炭素上に形成される超高エネルギー密度蓄電状態の電気二重層

研究課題

研究課題/領域番号 22H01460
配分区分補助金
研究機関秋田大学

研究代表者

熊谷 誠治  秋田大学, 理工学研究科, 教授 (00363739)

研究分担者 田島 大輔  福岡工業大学, 工学部, 教授 (10531452)
富岡 雅弘  秋田大学, 理工学研究科, 助教 (00838683)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード電気二重層 / 蓄電 / 多孔質炭素 / イオン液体 / エネルギー密度
研究実績の概要

比表面積と細孔構造の異なる活性炭を複数種準備した。活性炭粉末にポリテトラフルオロエチレン等の耐熱バインダと炭素系導電助剤を添加し,均一厚のシートを得た。円形に打ち抜いたものを正負極とし,電解液にイオン液体を用いた電気二重層キャパシタセルを組み立てた。
高い導電率が期待できるイミダゾリウム系のイオン液体など,有望なイオン液体の複数種使用した。異なる動作温度において,定電流充放電により電気二重層キャパシタセル内活性炭の単位質量当たりの静電容量(比静電容量)とエネルギー密度を測定した。また,セル電圧最高値を2.5Vから段階的に4.0Vまで増加させ,各試験条件と得られるエネルギー密度の関係を調査した。
その結果,比表面積が3000m2/gを超える活性炭とイミダゾリウム系イオン液体を用いた電気二重層キャパシタセルを3.8V程度までに充電することで,100Wh/kgを超えるエネルギー密度を有する電気二重層を形成できることが分かった。また,最大130Wh/kg のエネルギー密度も実現できることが分かった。一方,動作温度を増加させることで,高電流密度の充放電時でのエネルギー密度を維持するには効果的であったが,エネルギー密度自体は単純に増加しなかった。
以上のように,活性炭種,イオン液体種,動作温度,セル電圧範囲など試験条件の最適化により,100Wh/kgを超えるエネルギー密度を有する電気二重層を形成できる条件を明確にした。条件をさらに最適化することで130Wh/kgを超えるエネルギー密度を実現できる可能性もある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

動作温度やセル電圧範囲など電気二重層キャパシタの動作条件を適切に設定し,100Wh/kgを超えるエネルギー密度を有する電気二重層を形成できる条件を明確にすることができた。また,セル電圧を4.0V近くまで上昇させることで,最大130Wh/kg のエネルギー密度も実現できることが分かった。それゆえ,研究計画通り,おおむね順調に進行していると判断した。

今後の研究の推進方策

当初計画通りに研究を進行する。具体的には,100Wh/kg以上のエネルギー密度を実現できる条件で,電気二重層キャパシタの充放電特性およびインピーダンス特性の解析を行う。そして,超高エネルギー密度蓄電状態の電気二重層の形成および解放機構の解明を行う。具体的には,内部抵抗の発生起源とその抵抗値など,これまで未知であった特性値を提示する。本研究グループが独自に開発した手法により,電気二重層の内層および拡散層の容量および抵抗,拡散層とバルク層の界面抵抗などの要素特定解析を行う。内層,拡散層,バルク層毎に分離されたインピーダンス特性を取得し,さらに,充放電特性とイオン液体の基礎物性と突き合わせ,超高エネルギー密度の電気二重層の形成と解放の機構を解明する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Impact of Full Prelithiation of Si-Based Anodes on the Rate and Cycle Performance of Li-Ion Capacitors2022

    • 著者名/発表者名
      Takuya Eguchi, Ryoichi Sugawara, Yusuke Abe, Masahiro Tomioka, Seiji Kumagai
    • 雑誌名

      Batteries

      巻: 8 ページ: 49~49

    • DOI

      10.3390/batteries8060049

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effects of Excessive Prelithiation on Full-Cell Performance of Li-Ion Batteries with a Hard-Carbon/Nanosized-Si Composite Anode2022

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Abe, Ippei Saito, Masahiro Tomioka, Mahmudul Kabir, Seiji Kumagai
    • 雑誌名

      Batteries

      巻: 8 ページ: 210~210

    • DOI

      10.3390/batteries8110210

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 異なる種類の活性炭を電極に用いる電気二重層キャパシタの充放電特性2022

    • 著者名/発表者名
      遠藤幸太郎,安部勇輔,富岡雅弘,熊谷誠治
    • 学会等名
      日本素材物性学会令和4年度(第32回)年会
  • [学会発表] イオン液体を電解液に用いることによる電気二重層キャパシタの高エネルギー密度化2022

    • 著者名/発表者名
      藤本一輝,安部勇輔,富岡雅弘,熊谷誠治
    • 学会等名
      日本素材物性学会令和4年度(第32回)年会
  • [学会発表] 高電圧充放電試験後の電気二重層キャパシタのインピーダンス特性2022

    • 著者名/発表者名
      藤本一輝,安部勇輔,富岡雅弘,熊谷誠治
    • 学会等名
      2022年度電気関係学会東北支部連合大会
  • [学会発表] もみ殻炭の蓄電デバイス電極材料への応用2022

    • 著者名/発表者名
      熊谷誠治
    • 学会等名
      第20回日本炭化学会研究発表会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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