研究課題
本研究課題では、微小環境エネルギーを利用するため、0.1V以下の交流電圧または直流電圧から動作し、昇圧および安定化するための電源回路の方式を提案し、環境発電デバイスを用いた実験により動作を実証する。また、提案した回路のエネルギー変換効率を最大化する条件を、理論、シミュレーション、実験を通して明らかにする。また、提案した回路を用いて、フィールドに分散した環境発電デバイスのネットワークから損失無く電気エネルギーを集める方法を提案し、環境発電デバイスの数とエネルギー変換効率の関係を、理論、シミュレーション、実験を通して明らかにし、環境発電技術のIoT応用に貢献する。2023年度の研究では、0.01V以下の入力電圧から動作する理想整流回路を用いてコッククロフト-ウォルトン型の昇圧整流回路を構成し、高効率機械振動-電気振動変換デバイスである磁歪式振動発電デバイスによる直流電力の蓄電を確認した。他に試作した回路方式と比べて、コッククロフト-ウォルトン型昇圧整流回路のエネルギー変換効率が高いことが確認されたため、この回路方式に絞って、エナジーハーベスティンの実験を行い、微小振動のエネルギーを電気エネルギーに変換できることを示した。また、磁歪式振動発電デバイスと理想整流回路のエネルギー伝送効率を最大化するための条件を求めた。さらに、IoTへの応用可能性を確認するため、試作した磁歪式振動発電デバイスを接続することができる低消費電力無線センサデバイスの試作を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、2022年度に試作した理想整流回路を用いて、コッククロフト-ウォルトン型昇圧整流回路、同期式磁束コンバータ、超低電圧発振器内蔵ブーストDC-DCコンバータの性能評価を実施し、エネルギー変換効率の良いコッククロフト-ウォルトン型昇圧整流回路と磁歪式振動発電デバイスを用いて、0.1G以下の微小振動により電気エネルギーが蓄積されることを確認した。また、磁歪式振動発電デバイスと理想整流回路のエネルギー伝送効率を最大にする回路接続方法を明らかにした。複数の微小発電デバイスからの電気エネルギーを集約する方法について検討を行い、次年度に広域分散型エナジーハーベスティングを行うための準備をした。
2023年度に試作した磁歪式振動発電デバイスとコッククロフト-ウォルトン型昇圧整流回路を用いて、複数の分散された発電デバイスから、1個のキャパシタに電気エネルギーを集約する広域分散型エナジーハーベスティングのための制御回路の試作を行い、その特性および性能評価を実施する。また、収集した電気エネルギーを用いて、IoTデバイスが駆動できることを実証する。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
Telecommunication Computing Electronics and Control
巻: 21 ページ: 290-301
10.12928/telkomnika.v21i2.24739
2023 International Conference on Radar, Antenna, Microwave, Electronics, and Telecommunications
巻: 2023 ページ: 242-247
10.1109/ICRAMET60171.2023.10366557