研究課題/領域番号 |
22H01498
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
若家 冨士男 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (60240454)
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研究分担者 |
村上 勝久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20403123)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 磁気力顕微鏡 |
研究実績の概要 |
交付申請書の研究実施計画の段階では,2022年度には磁気力顕微鏡を購入してそれを改造する計画を立てていたが,世界的な物流の乱れと半導体不足のため,機種選定して発注した装置の納品が大幅に遅れ,実験は計画通りには進まなかった。しかし,その時間を利用して理論的研究を進めた。 磁気力顕微鏡を用いて非磁性導体を検出する原理は,①磁気力顕微鏡の磁化をもったプローブの振動により非磁性導体中に渦電流が流れる,②非磁性導体中に流れた渦電流が磁場を発生する,③発生した磁場の勾配により磁気力顕微鏡のプローブの磁気モーメントが力を受けプローブの振動が変調される,④プローブの振動が変調されると非磁性導体中の渦電流も変化する,②に戻る,という無限ループが定常状態になることである。この現象の連立運動方程式を立て,自己無撞着な解析解を求めるのは非常に難しい。自己無撞着な積分方程式を解く難しさと,無限大に発散する被積分関数の取り扱いに関する難しさがある。2022年度は,物性理論の研究者との共同研究を実施し,この解析解(近似解)を求めることに成功した。そこでは,半径の異なる渦電流間の相互作用については1次までを残す近似を行った。また無限大に発散する被積分関数の取り扱いは,発散するところで被積分関数を展開し,最も大きく発散している項で全体を置き換える近似を行った。結果的には,半径の異なる渦電流間の相互作用の効果は非常に小さくて,現状の実験ではあまり気にしなくてもよいことが明らかとなった。この成果は2023年3月の応用物理学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は,世界的な物流の乱れと半導体不足のため,機種選定して発注した装置の納品が遅れ,年度末のギリギリになってしまった。そのため,実験が進まなかったが,その時間を利用して理論的研究を進めた。「概要」のところに記述したとおり,理論的研究としては大きな進歩があったため,「おおむね順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度末に納品された装置を使って,実験を進める。具体的な方策は,抵抗率が大きい導体の検出限界の決定,微小欠陥があったときの検出限界の決定,静電気力などの影響をキャンセルしながらの測定手法の確立,プローブ高さや振動周波数を自動コントロールしながら測定するように装置を改良する,などである。また,理論的研究も続けたい。理論は,さまざまな近似の上に成立しているが,実際の実験の条件がその近似の条件を満たしていない場合も多い。そのあたりを埋めるようなシミュレーションを行いたい。
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