研究課題/領域番号 |
22H01500
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
紀和 利彦 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (00379710)
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研究分担者 |
井上 博文 岡山大学, 大学病院, 主任臨床検査技師 (90828253)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | テラヘルツ / アプタマー / フェムト秒レーザー / 病理 / がん細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、代表者らが開発し細胞検出に成功した「テラヘルツ波(THz)ケミカル顕微鏡(TCM)」を用いて、1) がん細胞検出の選択性を高めるペプチドタグ結合抗体・アプタマーの探索、2) 半導体バイオセンサの電位変調による高感度化技術の開発、3) TCMに特化したTHz波画像解析技術の開発を実施することで、体液中がん細胞の新規定量評価法を実現することを目的とする. 本年度は特に、交流変調を行い、検出THz波強度と同期検波する手法を開発し、感度を向上させる。この研究項目により、がん細胞検出限界を現状の103 個/mlから10 個/mlへと向上させることを実施した。 その結果として、実際に半導体バイオセンサにー5Vから+5Vまでの電圧を印加することで、検出感度が変化することを見出した。検出対処として、新型コロナウィルスのNタンパク質及び肺腺がん細胞を用いた。どちらの試料に対しても、検出感度を調節できることが示され、かつ、それぞれの試料で検出感度が最大となる印加電圧の値が異なることを見出した。 これは、検出面では、検体の反応による電位変化量と印加電圧の総和により検出感度が決定されるためであると考ええられる。 2024年度は、この結果をもとに、さらに異なる検体の検出など応用展開を図る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画である、電圧印加による感度調整について、実証に成功した。加えて、計画以上の進捗として、がん細胞以外の物質である、新型コロナウィルスのnタンパク質の検出にも適用可能であることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
TCMでは、半導体バイオセンサにフェムト秒レーザーを照射し、半導体バイオセンサのシリコン薄膜層で発生するTHz波の強度を観測する。フェムト秒レーザーを半導体バイオセンサ表面で走査することで半導体バイオセンサ表面のTHz波放射強度分布(TCM画像)を得る。がん細胞量の定量評価には、TCM画像から細胞が反応した位置に対応する部分を抽出する必要があるが、低細胞濃度ではコントラストが低くなるために正確な抽出が困難である。そこで、画像の重心推定アルゴリズムを開発し、定量評価の精度向上を行う。
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