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2022 年度 実績報告書

先進的電子デバイスにおける劣化のサイエンス

研究課題

研究課題/領域番号 22H01519
配分区分補助金
研究機関東京工業大学

研究代表者

間中 孝彰  東京工業大学, 工学院, 教授 (20323800)

研究分担者 田口 大  東京工業大学, 工学院, 准教授 (00531873)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード有機エレクトロニクス / 素子劣化 / 光第二次高調波
研究実績の概要

本研究では、電界を可視化するという独自技術を用い、前駆段階における微小な変化を捉えつつ、前駆現象から素子破壊まで、劣化という現象を連続的・系統的に捉えていく。本年度は、主にポンププローブSHG法によるPVK太陽電池および有機薄膜太陽電池(OSC)中のキャリア挙動評価およびSHGイメージングによる劣化イメージングを実施した。まず、有機薄膜太陽電池における膜厚方向の電界分布をイメージングするSHGイメージング顕微鏡を構築した。通常のSHGとは少し異なり、2本のレーザー光をサンプルに同時に斜入射し、サンプル垂直方向かららのSHGをイメージングするような設計とした。また、太陽電池の劣化評価で用いられるLBIC測定系もこのシステムに組み込んだ。OSCとしてはP3HT:PCBMバルクヘテロ太陽電池を用い、LBIC測定を行いながら疑似太陽光を照射して劣化させる実験条件を確定させた。SHG測定において、P3HTの電界を選択的に評価するためにレーザー波長を実験的に決定し、SHG光強度の電圧依存性から光強度が最小となる外部電圧(補償電圧)を測定し、これを内部電界とした。その結果、劣化前後で補償電圧が減少することを見出し、劣化後の素子では蓄積電荷を主な原因としてP3HT内の電界が小さくなっていることを明確化した。また構築した縦電界顕微鏡を用いて面内の一部を劣化させた素子を評価したところ、界面におけるホール蓄積による縦電界強度の減少が確認できた。SH強度の変化量から蓄積電荷密度を見積もった結果、LBICの変換効率が低かった部分では蓄積電荷密度の上昇が確認され、劣化箇所を蓄積電荷密度変化として定量的に可視化する新しい劣化評価手法を構築することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度計画していたポンププローブSHG法による有機太陽電池中のキャリア挙動評価について十分な進展があったことから、昨年度から前倒し使用を申請してラマン測定の準備を行っている。上述したように、SHGによる劣化イメージングの測定システムを構築し、劣化の有無によるSHG像の違いを確認することができた。この成果は劣化によるキャリア挙動の変化を反映したものであり、劣化の原因までは議論できていなかった。そのため、来年度以降に予定していたラマン測定を前倒しして実施することで、SHGによる電気的な視点からの劣化原因の特定と、ラマン測定による化学的要因の特定を優先させることにした。そのような意味では、大幅な進展があったといえるが、当初予定したPL測定をラマンイメージングの後に実施することになった。

今後の研究の推進方策

SHGによる劣化イメージングはコアとなる技術のため今後も評価を継続していく。まずは、劣化のラマンイメージング取得を目指したい。また、SHGとLBICを同一装置で測定することで、劣化箇所を厳密に特定できるようになったため、本来は個別に測定することを想定していた異なる分光評価を、同一装置に組み込んで測定できるようにしたい。これにより、本研究で目的としている劣化機構の理解が更に加速すると期待される。また来年度は、SHGイメージングとラマン分光を組み合わせて、劣化が始まった箇所と未劣化箇所を比較してキャリア挙動や励起子分離挙動の違いを評価するとともに、PLイメージングによるキャリア寿命評価を行う。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Dipolar Energy as an Electrical Power Source: Dipole Rotation in Solids Enables a New Source for the Triboelectric Generator2023

    • 著者名/発表者名
      Dai Taguchi, Takaaki Manaka, and Mitsumasa Iwamoto
    • 雑誌名

      Phys. Status Solidi A

      巻: 23 ページ: 2300138

    • DOI

      10.1002/pssa.202300138

    • 査読あり
  • [学会発表] 摩擦発電のためのpoly(vinylidenefluoride-trifluoroethylene) スピンコート膜の熱刺激電流測定2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 裕介、田口 大、間中 孝彰
    • 学会等名
      2023年第70回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] Spectroscopic Operand Measurements for Studying Organic Semiconductor Devices and Materials2022

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Manaka
    • 学会等名
      International Discussion & Conference on Nano Interface Controlled Electronic Devices (IDC-NICE 2022)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Spectroscopic operand measurements for investigating the organic semiconductor devices and materials2022

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Manaka
    • 学会等名
      15th Asia Pacific Physics Conference (APPC15)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Evaluation of degradation process of organic thin film solar cells using LBIC and optical second harmonic generation2022

    • 著者名/発表者名
      Yuki Okada, Dai Taguchi, Takaaki Manaka
    • 学会等名
      13th International Conference on Nano-Molecular Electronics (ICNME2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] Dipolar energy as an electrical power source: dipole rotation in solids opens a new way for triboelectric generator2022

    • 著者名/発表者名
      Dai Taguchi, Takaaki Manaka, Mitsumasa Iwamoto
    • 学会等名
      13th International Conference on Nano-Molecular Electronics (ICNME2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] Study on molecular alignment change of tin phthalocyanine film grown by vacuum deposition in DC electric field2022

    • 著者名/発表者名
      Riku Koshiba, Dai Taguchi, Takaaki Manaka
    • 学会等名
      13th International Conference on Nano-Molecular Electronics (ICNME2022)
    • 国際学会
  • [学会発表] Evaluation on Chirality Temperature Dependence of Hybrid Perovskites thin film2022

    • 著者名/発表者名
      Feng Wei, Dai Taguchi, Takaaki Manaka
    • 学会等名
      13th International Conference on Nano-Molecular Electronics (ICNME2022)
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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