研究課題/領域番号 |
22H01535
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
大河内 拓雄 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 主幹研究員 (00435596)
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研究分担者 |
藤原 秀紀 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (00397746)
大沢 仁志 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光推進室, 研究員 (00443549) [辞退]
濱本 諭 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, リサーチアソシエイト (50910460)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 反強磁性 / 磁気線二色性 / パルスレーザー / 光誘起磁化反転 / 光電子顕微鏡 / 放射光 |
研究実績の概要 |
反強磁性物質や薄膜に対して直線偏光レーザーパルスを照射することで、逆・磁気線二色性効果を介して偏光方向に応じた反強磁性磁化の方向を任意に制御する手法の開発を試みた。まず、劈開したNiO(001)バルク結晶表面に、偏光方向の異なる複数の条件のレーザーパルスを照射したときの反強磁性磁区を、放射光磁気線二色性の光電子顕微鏡観察(XMLD-PEEM)によって評価した。その結果、レーザー照射場所における磁区構造の改変状態は確認できたものの、明確な偏光依存性は検出できなかった。これは、バルク内部の強固な磁気構造により、表面でのレーザー磁区改変が効果的に任意の磁区構造配列を及ぼすことができなかったことによると考えている。 一方、薄膜状の反強磁性体で同様の効果を検証すべく、製膜装置の立ち上げも行った。既存の製膜チャンバーに新規に電子線蒸着装置とスパッタリング装置を導入し、Fe、Ti、NiO、Fe2O3などを製膜できる環境を整えた。酸化物反強磁性体は、酸化物ターゲットのスパッタリングおよび金属ターゲットの反応性蒸着の2通りの製膜手段があるが、エピタキシャル成長には基板温度や成長レート、ガス雰囲気などの最適化を行う必要があり、この実験が最も時間を要する内容になると予想される。次年度は製膜条件の探索を中心に進めていく予定である。また、製膜実験の促進のため、製膜チャンバーも、本研究費により新規に整備する計画だが、チャンバーの設計図もほぼ完成した状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画当初に想定していた初年度の実施内容は、「製膜装置の導入」「バルク反強磁性による逆・磁気線二色性効果の確認」で、次年度は本格的な反強磁性薄膜の製膜条件の最適化とそれによるパルスレーザー打ち込み実験とXMLD-PEEMによる評価となっている。よって、初年度に実施予定の内容は全て遂行している。結果として、バルク試料による簡易的な実験では逆・磁気線二色性効果は確認できなかったが、今後、高品質の薄膜・多層膜試料を製作することによって実現できるものと見込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の内容は、主に、反強磁性薄膜や多層膜の最適な製膜条件の探索と、直線偏光レーザー打ち込みによる逆・磁気線二色性効果の確認を並行して行っていく。また、専用の製膜チャンバーも導入してさらに高効率に製膜実験を進める環境を整える。逆・磁気線二色性効果がうまく観測されない場合は、反強磁性/強磁性多層膜による、磁気交換バイアスを、円偏光パルスレーザーのみで誘起させる実験など、派生的な研究内容も進めて成果を上げる。
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