研究課題/領域番号 |
22H01552
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小西 毅 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90283720)
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研究分担者 |
植之原 裕行 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20334526)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 非線形光学効果 / シリコンフォトニクス / 構造モデリング / データ同化 |
研究実績の概要 |
本研究では,シリコンフォトニクスにおける光デバイスの品質検査のために必要不可欠な構造評価について,SEMやAFMなどを用いた方法とは全く異なる新しいアプローチの開拓を“目的”として、シリコン光デバイスの現在の構造評価技術の高速化に対して,初めて着想した光の非線形伝播による全く異なる構造評価アプローチの可能性を検証し、その有用性を明らかとすることを目指している.具体的には,①構造の評価方法の原理確認,②構造の評価方法の精度の検討,③適用可能な構造の自由度の項目について検討を行う.今年度は,①構造の評価方法の原理確認について,主に伝播計算の高速化と構造の評価方法の原理確認を目指す.シリコンデバイスの伝播計算シミュレーションには有限差分時間領域法が一般的に用いられるが,計算時間が長く高速化には適していない.そこで,スプリットステップフーリエ変換法を用いた高速化を新しく検討し,シミュレーションで与えた基本的な構造の推定確認を行った.その結果,基本構造であるテーパー型の導波路に対して,数秒程度の計算時間内で2.87%の推定誤差での構造推定を実現した.その結果を、SPIE Photonics West 2023(招待講演)をはじめ2件の国際会議発表を行った.また,シミュレーションによる原理確認と並行して,分担者の東京工業大学において試作した基本構造導波路デバイスに光結合デバイスを接続した評価用デバイスの準備を終えた.また、独自にデバイス構造の顕す光学特性の蓄積の試みとして、例えば4×4MMIの接続部にテーパを入れることで位相誤差が小さくなり、フィルタとしてのクロストークが改善される様子などを確認し、評価デバイスの探索を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,シリコンフォトニクスにおける光デバイスの品質検査のために必要不可欠な構造評価について,SEMやAFMなどを用いた方法とは全く異なる新しいアプローチの開拓を“目的”として、シリコン光デバイスの現在の構造評価技術の高速化に対して,初めて着想した光の非線形伝播による全く異なる構造評価アプローチの可能性を検証し、その有用性を明らかとすることを目指している.具体的には,①構造の評価方法の原理確認,②構造の評価方法の精度の検討,③適用可能な構造の自由度の項目について検討を行う.今年度は,①構造の評価方法の原理確認について,主に伝播計算の高速化と構造の評価方法の原理確認を目指す.シリコンデバイスの伝播計算シミュレーションには有限差分時間領域法が一般的に用いられるが,計算時間が長く高速化には適していない.そこで,スプリットステップフーリエ変換法を用いた高速化を新しく検討し,シミュレーションで与えた基本的な構造の推定確認を行った.その結果,基本構造であるテーパー型の導波路に対して,数秒程度の計算時間内で2.87%の推定誤差での構造推定を実現し、計画通りの目標を達成した。また、その結果を、SPIE Photonics West 2023(招待講演)をはじめ2件の国際会議発表を行った.さらに,分担者の東京工業大学と協働した評価用デバイスの準備を終えており,概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,概ね順調に進められているので,計画に沿って進める予定である.前年度の原理確認結果の過程で抽出された効果的な検討対象として,3次元化の進むデバイス構造における光導波路の構造把握の重要性が挙げられ,分担者の東京工業大学での県央で得られた知見なども含めて様々な構造変化に対応したその伝播計算の高速化と構造の評価方法の原理確認を目指す。令和5年度は,②構造の評価方法の精度の検討を意識して,シミュレーションと実験の双方から基本的な構造における構造変化の推定確認を進める.また、前年度の原理確認結果の過程で挙げられた検討項目として、限定的な構造を対象とした場合には可能となる他の推定手法との比較などにも着手する。
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