研究課題/領域番号 |
22H01569
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
庄司 学 筑波大学, システム情報系, 教授 (60282836)
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研究分担者 |
牧 剛史 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60292645)
市村 強 東京大学, 地震研究所, 教授 (20333833)
長山 智則 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80451798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地震工学 / 複合・重畳荷重 / 長周期型橋梁 / 道路インフラ / レジリエンス技術 |
研究実績の概要 |
本研究の第1の目的は,2016年熊本地震等の大規模な地殻内地震において顕在化した,長周期型橋梁の地震被害の物理的現象を,強震動や地表断層変位,液状化・沈下等の地盤変状,斜面崩壊等の複合・重畳荷重による長周期型橋梁の非線形応答と捉えた上で,これらを説明しうる複合・重畳荷重の作用メカニズムの逆同定と類型化を試みる点にある.2022年度においては,本課題を求解する上で必要となる,周辺地盤を含めた長周期型橋梁のプロトタイプ構造モデルを3次元有限要素モデルでモデル化した.その際,熊本地震において被災した橋梁群から,モデル化に適した主に木山橋,及び,大切畑大橋並びに桑鶴大橋を選定した.これらのモデル化に当たっては,設計資料や設計図面,周辺地盤並びに斜面に関する地形・地質・土質情報を土木研究所より収集した. 床版はソリッド要素,鋼主桁・横桁・対傾構はシェル要素でモデル化した.積層ゴム支承あるいは免震支承はソリッド要素あるいは3次元6自由度のマルチスプリング要素でモデル化した.落橋防止ケーブル並びにエクスパンションジョイントは引張と圧縮の非線形並びに非対称性を考慮したスプリング要素でモデル化した. RC構造の橋台や橋脚躯体,フーチング,杭基礎については中間節点を設ける2次の4面体あるいは6面体ソリッドでモデル化した.軸方向鉄筋や帯鉄筋の配筋に応じた材料の異方性を反映した要素分割を施した. 長周期型橋梁を支持する周辺地盤は2次の4面体あるいは6面体ソリッド要素でモデル化した.地形・地質調査の情報を完全に反映した層構造として要素分割すると過度に複雑になりすぎて求解に必要な行列を正定値行列に前処理することが困難となるため,周辺地盤の層構造は地盤の振動特性を保持しつつ簡素化をはかった. 各要素の材料物性(縦弾性係数,ポアソン比)は各種示方書や設計資料をもとに定め,それらの構成則は弾性とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度「研究実施計画」をおおむね満足するような,長周期型橋梁のプロトタイプ構造モデルを3次元有限要素モデルで構築することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に構築した,長周期型橋梁のプロトタイプ構造モデルを以下の2つの観点からアップデイトする. 第1には,免震支承,積層ゴム支承,落橋防止ケーブル並びにエクスパンションジョイントの構造要素に非線形モデルを導入する.また,杭体周面と土のすべりや剥離,並びに,杭先端部の押し込み,引き抜けの各々の非線形挙動をモデル化するために,インターフェース要素の導入を検討する. 第2には,対象橋梁を取り囲む四方の側面並びに底面の境界にはダッシュポットでモデル化された粘性境界要素の導入を検討する.特に,波動の側方境界での反射を抑え,かつ,底面境界における下降波の反射を抑えるようにダッシュポットの減衰係数を調整・設定する.また,土質の構成則にはHardin-DrenevichあるいはRamberg-Osgoodの弾塑性モデルの導入を検討する. 次に,2023年度「研究実施計画」で示した,複合・重畳荷重のパターンベクトル群(Input)に対する各構造要素の非線形応答ベクトル群(Output)を数値的に求めることは大きな計算コストを要するため,東京大学並びに筑波大学が保有するスーパーコンピュータWisteriaを活用することとする.
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