研究課題/領域番号 |
22H01578
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
伊津野 和行 立命館大学, 理工学部, 教授 (90168328)
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研究分担者 |
里深 好文 立命館大学, 理工学部, 教授 (20215875)
野阪 克義 立命館大学, 理工学部, 教授 (50373105)
松村 政秀 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 教授 (60315976)
四井 早紀 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (60875897)
中谷 加奈 京都大学, 防災研究所, 教授 (80613801)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 橋梁 / 設計 / 水害 / 土石流 / 防災 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,橋を洪水や土石流などの水害から守る手法を確立することである. 漂流物を含む橋梁周辺流れの解明に関しては,流木の流出過程の把握に機械学習による画像解析を用いて,解析の効率化を図り,より幅広い実験条件で橋の閉塞に影響する要素を検討した.ロジスティック回帰分析から,橋脚なしの条件では流木面積のピークが平均流木濃度よりも閉塞の判別指標として有用だということを示した. 橋の対水害設計法の開発に関しては,橋梁の洪水対策として常設足場として利用されているプレートをフェアリングとして活用することを検討し,流体力の軽減効果を数値解析的に検証した.桁流失に抵抗する部材である支承の諸元が設計地震力で決まるとすると,橋の固有周期によってその抵抗力が異なる.数値解析の結果,想定した洪水流によって生じる抗力は,フェアリングを設置していないモデルの67 %に軽減でき,フェアリングによって支承の水平耐力のみで対応可能な橋の固有周期範囲が増えることを示した.一方,揚力は増加したが,支承に設計耐力以上の負反力が生じることはなかった.結果は土木学会論文集に投稿中である. また,実寸程度の,支承サイドブロックのボルト接合部模型に水平力を作用させる載荷実験を実施し,短締め・長締めによりボルト接合された支承サイドブロックの損傷過程を明らかにした.道路管理者による災害発生後の初動や緊急点検,点検結果に基づく健全性評価を,熊本地震を事例として分析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで予定していた検討は順調に完了し,実験や数値解析も特に問題なく実施することができた.研究成果を査読付き論文として構造工学論文集など複数の学術誌に投稿することができ,掲載または掲載決定となった.
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今後の研究の推進方策 |
漂流物を含む橋梁周辺流れの解明に関しては,昨年度に引き続き実験やデータ整理を行って,橋脚ありの条件や,流木について複数の指標を用いた場合の橋の閉塞の判別精度について検討を進める.さらに,流木を含む流れが橋梁に与える影響について,水路実験や数値解析により検討する.また,鎖を用いた流木捕捉工の高機能化を検討する. 橋の対水害設計法の開発に関しては,ボルト接合部模型に水平力を作用させる載荷実験を引き続き実施し,支承サイドブロックの耐力と損傷過程を明らかにすることによって,流失した橋梁の損傷過程を明確にするとともに,緊急点検実施の実態を踏まえ,既設橋支承部に対する流失防止対策を提案する.橋桁の流失に抵抗する支承の耐力が主に耐震設計で規定されることに着目し,橋の固有周期別の支承耐力と洪水時の流体力とを比較することにより,対水害設計法の提案に向けた数値解析を実施する.また,都市内の一部の橋梁が自然災害により不通になった場合を仮定して,自然災害の影響範囲と緊急輸送道路や重要物流道路の位置関係の分析を行う. 最終年度であるため,年度末に向けて研究プロジェクト全体のとりまとめを行い,橋を洪水や土石流などの水害から守るガイドライン案の形式での資料作成を目指す.
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