研究課題/領域番号 |
22H01585
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
谷 和夫 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50313466)
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研究分担者 |
池谷 毅 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (20416746)
野村 瞬 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (20705701)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地盤調査 / サンプリング / サウンディング |
研究実績の概要 |
2023年上期に、貫入性能と施工性をさらに向上させることを目的に、断面を六角形から三角形に変更し、さらに面積を45%に小さくした改良サンプラーを設計・製作した。そして、2023年下期に、N値が10から30の中密な砂質土地盤でサンプリング兼コーン貫入試験(S&CPT)の現場実験を行って、改良の効果を検証した。S&CPTの実施地点の近傍で、標準貫入試験(SPT)、一般的なコーン貫入試験(CPT)、ラジオアイソトープ・コーン貫入試験(RI-CPT)も実施した。さらに、S&CPTによって採取した試料を用いた各種の物理試験(粒度試験、コンシステンシー試験)を行い、土質の判別や力学特性に係る評価に係る性能を検討した。 その結果、以下4点の結論を得た。(1)シャッターの先端(断面積が同一の長さ約7センチメートルの範囲)で閉塞が発生したため、連続した試料は長さ1メートル未満(0.57m)しか採取できなかった。シャッターの先端に閉塞を防止するためのシュー(先端の開口部の直上の断面積を大きくした部材)を設けることとし、設計・製作した。(2)シャッターの長さを半減するなどの改良により、試料の取出しに係る時間が改良前に比べて1/10にまでは短縮した。(3)S&CPTにより採取された試料で計測された含水比は、RI-CPTにより推定された自然含水比の値より約2%低い。サンプラーからコア箱に試料を移動する際の乾燥の影響あるいはデータのばらつきと推測される。(4)含水比を2%程度に過小評価すると仮定すると、既往の経験式を用いて推定されたせん断抵抗角は約1度過大に評価される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
改良したサンプラーの貫入性能が、サンプラーの先端部で発生した閉塞の影響により想定より低かった。この課題を解決するために、閉塞の発生を抑制するためのシューを設計・製作した。なお、この改良の効果を現場で実証する必要があるので、引き続き適切なサイトを探す。 また、現地で採取した砂試料を用いて所定の間隙比に調整した供試体を用いた三軸圧縮試験を実施中である。この実験は2024年度上期に終了の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に改良したサンプラーを利用して現場実験を行い、データベースの充実を図る。なお、S&CPTの性能の評価をするためには、実施サイトで一般的な試験方法による地盤調査が行われている必要があるので、建設などの目的で予定されているサイトでの追加調査として民間企業などに積極的に売り込みをかける。 また、提案するS&CPTは、本来は海域での効率的な地盤調査方法として開発されたので、水域での現場実験の機会も探す。 2022年度に得られた砂質土の三軸試験を実施し、この結果を利用して、S&CPTで得られる「やや乱された試料」から求められる含水比とCPTデータを活用した地盤の評価方法を検討する。
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