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2022 年度 実績報告書

移動床表層乱流計測に基づく微地形形成機構の詳細像の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22H01599
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

原田 英治  京都大学, 工学研究科, 教授 (00362450)

研究分担者 後藤 仁志  京都大学, 工学研究科, 教授 (40243068)
Khayyer Abbas  京都大学, 工学研究科, 准教授 (80534263)
五十里 洋行  京都大学, 工学研究科, 准教授 (80554196)
清水 裕真  京都大学, 工学研究科, 助教 (20869705)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード移動床 / 間隙流 / 乱流 / PIV / 微地形
研究実績の概要

当該年度は、当初の研究計画の通り水理実験を実施するための機材購入を進めた。本研究の目的は、移動床構成材料の間隙を考慮した移動床表面付近の乱流場をPIV計測し、移動床機構を検討することである。PIVによる間隙における流速計測には、レザーシート光が移動床内部に屈折することなく透過する必要がある。そのため、流体の屈折率と一致した移動床構成材料を用いて水理実験を実施した。当該年度は、水よりもわずかに大きな比重を有した粒子を対象に、粒子群の沈降過程実験を実施しPIVによる乱流計測を行なった。粒子群沈降に関する実験および数値シミュレーションは既往研究で多く発表されているが、沈降粒子群によって誘起した乱流場の情報は十分に得られていなかった。本研究では沈降粒子群による乱流場をPIVによって計測し、粒子群沈降挙動レジームの遷移と乱流構造の関連について検討した。また、振動水槽を用いて、移動床からの単一粒子の離脱過程を対象に水理実験を実施し、離脱過程での乱流場をPIV計測結果から示し、流速やレイノルズ応力の時空間分布から乱流と離脱粒子挙動を関連付けて考察を進めた。なお、粒子群の沈降過程に関する研究成果は、水理分野のジャーナルに投稿するため執筆を進めた。これらの水理実験を進めつつ、現実の移動床に近い状況を検討するためより適切な実験材料を継続調査し、特殊な材料で形成された人工粒子の情報を得た。そして、特殊材料の人工粒子を用いて移動床過程の実験が可能であるか調査を実施した。ただし、当該年度の後半に得た情報であったため、実験材料の調達および実験材料を用いた追加調査に要する時間を考慮して、当該年度予算の一部を次年度に繰越する手続きをとった。また、実験と並行して遡上波による透水性斜面における漂砂過程を対象に、体積保存型のDEM-MPS法を用いた数値シミュレーションを実施し、国内の講演会付き論文へ投稿した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当該年度の研究実施計画では、P I V計測のノウハウを蓄積するため移動床実験の前に、簡単な粒子群沈降過程を対象とした実験を実施することとしていた。また、流体と粒子の屈折率を合わすことに経験がなく、試行錯誤が予想されていた。研究開始当初、流体の屈折率と同じハイドロゲル粒子を用いて、粒子群沈降過程や移動床からの単一粒子の離脱過程を対象に水理実験し、P I V計測から乱流場の検討を進めていた。ただし、粒子比重が流体よりも僅かに大きなハイドロゲル粒子を用いていたため、実際の現象に近い条件の粒子を継続して調査していた。当該年度の後半に、粒子の比重が2の特殊な材料で形成された粒子の情報を得た。特殊材料の粒子の購入とそれを用いた移動床実験の調査に要する時間が必要であった。また、特殊材料粒子は、高価であるため慎重な調査を通じて段階的に購入を進める必要があり、繰越手続きを行なった。特殊材料を用いた追加実験を実施したことで研究計画に遅れが生じた。また、数値シミュレーションについては、実験と並行して遡上波による透水性斜面における漂砂過程を対象に、体積保存型のDEM-MPS法を用いた数値シミュレーションを実施し、国内の講演会付き論文へ投稿したが、交付申請書には記載した「水理実験と対応した条件でDEM-MPS法を用いた固液混相流シミュレーションを実施する計画」については、時間が足りず実施ができなかった。

今後の研究の推進方策

次年度は、研究初年度(2022年度)に購入した機材や特殊材料の粒子を使用して振動水槽を用いた移動床実験を実施する。具体的な今後の研究の推進方策について、以下に示す。移動床の間隙が移動床表層付近の乱流場にもたらす影響をP I V計測した実験結果から示す。なお、乱流場の統計データを抽出するため、同じ条件で複数回の試行を実施する。時間が許せば、ステレオP I V計測を実施し、計測断面での3次元流速データを用いて移動床表層の乱流場の考察を深める。加えて、移動床表層付近の混相乱流場の理解に向けて、粒径の異なる特殊材料粒子を購入し、移動床表層での粒子の移動開始・輸送過程における乱流構造についても考察を深める。水理実験と並行してDEM-MPS法による移動床に関連した固液混相流シミュレーションを実施する。なお、シミュレーションでは、研究分担者と連携し、安定した数値計算の実施が可能な数値シミュレーションコードを用いて計算を実施するが、シミュレーションコードの実験結果に対する再現性を確認するための簡単な水理実験を実施する。次年度は、波打ち帯での底質輸送機構について、移動省の間隙流の存在がもたらす乱流場への影響の観点から検討するための基礎実験やシミュレーションを進めるとともに、研究初年度の研究成果を国際誌へ投稿し掲載を目指す。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 体積保存型DEM-MPS法による遡上波解析に基づく前浜の漂砂機構の計算力学2022

    • 著者名/発表者名
      田﨑拓海・原田英治・後藤仁志
    • 雑誌名

      土木学会論文集B2(海岸工学)

      巻: 78 ページ: I _433 - I_438

    • DOI

      10.2208/kaigan.78.2_I_433

    • 査読あり
  • [学会発表] ripple表層移動境界の計算力学的検討2022

    • 著者名/発表者名
      原田英治・田﨑拓海・後藤仁志
    • 学会等名
      第69回海海岸工学講演会

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公開日: 2024-12-25  

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