研究課題/領域番号 |
22H01604
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
花崎 直太 国立研究開発法人国立環境研究所, 気候変動適応センター, 室長 (50442710)
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研究分担者 |
石濱 史子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (80414358)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 貯水池 / 灌漑 |
研究実績の概要 |
2023年度は水利施設のうち、灌漑用貯水池に焦点を当てて研究を進めた。灌漑用貯水池は、農作物を生産するための安定した水の供給を確保するために不可欠であるが、その地球規模での地理的分布に影響を与える環境条件については知られていない。そこで、7つの自然・社会的予測変数(年平均流量、最大月平均流出量と最小月平均流出量の差、平均勾配、土壌の透水係数、年間平均実蒸発量と可能蒸発量の比、総人口、国内総生産)に基づいて灌漑用貯水池の在不在を予測する種分布モデル(SDM)を構築した。モデルには結果の解釈のしやすさの観点から、一般化線形モデルを採用した。灌漑用貯水池の存在は下流の受益地の環境条件を反映するという仮定のもと、受益地の広がりを考慮した新たな社会的予測変数を整備し、受益地を考慮する場合としなかった場合について、SDMの性能を比較した。受益地を考慮した結果、現実の灌漑用貯水池の分布と整合的な応答曲線が得られ、SDMの予測精度も向上した。また、貯水池の地理的分布は社会的予測変数に対して最も感度が高いことが明らかになった。これらの結果により、水関連インフラにSDMを適用する際に対象地点の周辺の社会的環境を広く考慮することの重要性が明らかになった。本成果はHydrological Research Letters誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年度目を終了する段階で、重要な水インフラである海水淡水化ならびに灌漑用貯水池の世界的な分布に関する種分布モデルの構築と適用が完了した。2024年度は、研究計画に上げられている灌漑農地の分布のとりまとめに取り組む予定であり、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、世界の灌漑農地の分布に関する研究のとりまとめを行う。灌漑農地分布の種分布モデルは構築しているが、長期の時間変動まで扱えるかに焦点を当てて研究を拡張し、取りまとめる計画である。
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