研究課題/領域番号 |
22H01618
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
西内 裕晶 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (40548096)
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研究分担者 |
坪田 隆宏 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 講師 (00780066)
倉内 文孝 岐阜大学, 工学部, 教授 (10263104)
塩見 康博 立命館大学, 理工学部, 教授 (40422993)
嶋本 寛 宮崎大学, 工学部, 准教授 (90464304)
力石 真 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 准教授 (90585845)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 公共交通 / MaaS / ICカードデータ / SP調査 |
研究実績の概要 |
本研究は,長期ICカードデータの学習モデルに基づくエンドユーザー指向公共交通サービスの創出するため,ICカードデータ分析ならびに新たな公共交通サービスが導入された場合の公共交通利用者数の利用特性の分析を進めている. まず,ICカードデータの分析については,ある利用者の移動の継続性に関して,ICカードデータの集計によるトリップ強度指標を提案し,その指標の特徴について基本的な事項を考察することを目的とした.分析の結果,各利用者のトリップ強度指標の分布の傾向を把握でき,特に,65歳以上の利用者が持つナイスエイジや身障者のカードにおいては,長期的で高頻度に公共交通を利用していることを示すことができた.また,ICカードのサービスが開始された2009年から利用している利用者のトリップ強度指標の各年の変化を分析し,トリップ強度指標が低くなるまでの期間がカード種別で異なることを示した.これにより,公共交通利用促進のための利用者の利用継続特性を把握することができる可能性を示した. また,新たな公共交通サービスが導入された場合の公共交通利用者数の利用特性の分析については,高知県東部地域において複数の公共交通手段を選択できる地域を対象とした公共交通定額利用サービスを提案し,SP調査に基づく沿線住民のサービス利用意識の把握を試みた.本研究では,提案するサービスの利用意向を伺い,利用したいと回答した方の公共交通利用頻度も伺った.得られたデータを活用して,サービスの購入意図と購入する場合の利用頻度を被説明変数とする離散連続モデルを構築し,被験者の行動特性を把握した.その結果,多くの住民が自家用車を使用している状況下においても,一定数の住民が提案する公共交通定額利用サービスに興味を示し,購入を希望した場合には公共交通の利用頻度が高くなる可能性を示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,長期ICカードデータの学習モデルに基づくエンドユーザー指向公共交通サービスの創出するため,ICカードデータ分析ならびに新たな公共交通サービスが導入された場合の公共交通利用者数の利用特性の分析を進めている.2022年度は,10年間蓄積されたICカードデータならびに関連情報の整理に加えて,10年間の行動特性を把握するための基礎的な集計が完了した.2023年度は整理した情報を基礎に交通行動モデルの構築に取り掛かることが可能である.また,新たな公共交通サービスが導入された場合の公共交通利用者数の利用特性についても,2022年度までに,基本的な交通行動モデルの構築が完了していることから,本研究で提案する柔軟なエンドユーザー指向な公共交通サービスが導入された際の交通行動分析について,2023年度以降は,社会実装も視野に入れながら,構築した行動モデルの更新を試みる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,長期ICカードデータの学習モデルに基づくエンドユーザー指向公共交通サービスの創出するため,ICカードデータ分析ならびに新たな公共交通サービスが導入された場合の公共交通利用者数の利用特性の分析を進めている. 2023年度は,2022年度に整理した情報を基礎に交通行動モデルの構築に取り掛かる.具体的には,ICカードサービスが開始された2009年から数年後に公共交通利用を開始し始めた利用者を対象に,利用頻度の経年変化の特性を整理する.加えて,対象地域である高知市都市圏の過去の公共交通サービスの変化も整理し,公共交通サービスの変化と公共交通利用特性の関係を把握し,長期的な視点に基づくデータドリブンな公共交通利用モデルの構築を試みる. また,新たな公共交通サービスが導入された場合の公共交通利用者数の利用特性についても,2023年度以降は,社会実装も視野に入れながら,構築した行動モデルの更新を試みる.具体的には,公共交通が整備されている地域の特性や住民の普段の移動特性を加味しながら公共交通サービスを設定する方法を検討するものである.2023年度では,交通行動モデルを構築するためのデータを取得するためのアンケート調査を企画し,2022年度までに構築した交通行動モデルの更新を試みる.
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